0・1歳児クラス合同の春の公園探索です。乳児保育で大切な経験は室内にいるだけでは満たされません。外での活動が乳児を最も成長させると言えるかもしれません。

春の心地よい日差し

おもちゃも何もない大人との関わりもない部屋で過ごす子と、おもちゃがあって大人がいて会話をしながら育つ子。どちらが健全に育つでしょうか。当然、後者です。刺激は脳の栄養になります。様々な刺激を受けることが乳児期には特に大切なのです。

刺激とは感覚刺激です。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。そしてバランスなどの前庭覚や体の動かし方に関係してくる固有覚。様々な感覚刺激を適切に入力していくことが大切です。

外での活動は室内よりも様々な感覚を感じることができます。草花の匂い、風の音、おひさまの暖かさ、土の感触、凸凹の地面など。自然に触れていくことが重要です。

 

植物に触れる

写真ではお花を手に持っていますが、それだけでなく足元に生い茂る草花もポイントです。歩きにくいところを歩くことは歩行の訓練となり、バランス感覚も養います。もちろん見ていますし、匂いも感じる。これが良いのです。人工物より自然物の方が情報量が多いのです。

0歳児こそ自然に触れる

人間も元々は自然の中で生きてきた生き物です。例えば「おもちゃ」と呼ばれる道具がなかった時代、木の枝や植物を「おもちゃ」として扱うことで育ってきたわけです。

外の世界には様々なものがあります。0歳児にとっては不思議がいっぱいの場所です。「探索」が01歳児で大切な成長の要素と言われています。自分で興味を持ち、主体的に自分からハイハイや歩行で近づいていき、触ったり観察したりして不思議を体験する。その繰り返しが「経験」となって、できることが増えていきます。

 

命との遭遇

てんとう虫が手に止まり、不思議そうに見つめています。自分以外の生き物との遭遇は、様々な刺激や知見を子どもたちに与えてくれます。今まさに、虫との対話、生命との対話が生まれています。この体験が心を豊かにしていきます。

 

遊具も活用する

もちろん、01歳児の子からすれば自然物も人工物も差がありません。興味を持ったら活用していきます。例えば、公園に設置されたこの設置遊具は上に乗って揺れるものですが、だからといって上に乗って遊ばせるのが正解というわけではありません。

自分で横から揺らしてみるのも楽しいでしょう。ただ遊具の丸みの感触を触って確かめるだけでも面白いかもしれません。安全であれば遊び方は限定しない。これが乳児保育では重要になる考え方です。

 

感覚を共有する

公園に立っていたポールに抱きついたら冷たくて気持ち良かった。それを見て興味を持ったお友達もポールを触ってみた。ここでは「冷たくて気持ち良い」という感覚の共有が行われています。気持ちの交流と言っても良いでしょう。01歳児では言語での交流が乏しいため、感覚レベルでの共有体験を作ることが重要です。大切なのは言葉ではないのです。

共有することが嬉しいと完全に理解できない01歳児では同じ体験をしようとしているお友達を拒否することがあります。それは我儘であるとか優しさがないとかそういうことではありません。何も問題はありません。なんでも独り占めしたい時期から他人との気持ちの共有をしたい時期へと進むのが発達段階です。このような体験の繰り返しで子どもは成長していきます。

 

こんな素敵な子どもたちのそばにいられる喜び

専門的な解釈は一旦置いておきます。何よりも外で駆け回るのは楽しいのです。それが全てです。そしてその楽しいなという気持ちをお友達同士で共有していく。言葉ではなく、気持ちを感覚を共有する。

乳児期における主体的・対話的で深い学びとは、言葉以外の対話ができるような環境を作っていくことがコツかもしれません。

そして同じ気持ちを共有している笑顔の保育者が子どものそばにいる。春の公園でそんな素敵な時間をみんなで過ごしました。