令和3年5月の3歳児クラスでは子どもたちの興味が増してきている「虫」に着目した保育を行う計画を立てました。

虫の絵カードで興味を広げる

まずは導入として虫の絵カードを使って子どもたちの興味を広げていきます。「これは知ってる」「アリさん触ったことあるよ」など会話も弾みます。興味がありすぎてみんな前に出てきてしまいましたが問題ありません。この時期の子どもたちにとっては、意欲と興味があることの方が大切です。

 

次にさっき見た絵カードの中から、自分たちが興味のある虫になりきって体で表現する遊びを行いました。知識を増やすことだけが教育ではありません。体を使って表現する力を養っていきます。動きについては子どもたちに自分で考えてもらいました。良い動きやポーズがあればみんなで真似をします。いつでも主体的・対話的で深い学びを実践していきます。

 

先生を捕まえる

ネットを出したところ、最終的に保育者をぐるぐる巻きにして捕まえていました。みんな楽しそうです。今後虫を捕まえに行くというこちらのねらいは伝えていませんが、導入の遊びを通して「何かを捕まえる」という遊びの方向性が無意識で共有できているようです。

 

虫かご作り

子どもたちの中で「虫を捕まえにいきたい」という気持ちも高まり、虫かごを各自が作ることになりました。真剣な表情でオリジナルの虫かごを作っていきます。保育者が指定したものを作らせるのではなく、自分たちが興味を持って作りたいと思うものを作る方が集中して意欲的に取り組むのです。

 

散歩先で虫を探す

自分で作った虫かごを持って、いよいよ虫探しです。散歩先の公園でも一生懸命探します。自然が豊富な公園を選んだのですが、この日の収穫はアリとダンゴムシの2種類でした。

 

自分たちで考えた虫のおうち

わからないことは4歳児や5歳児クラスのお兄さんお姉さんに聞いて、自分たちで考えて集めた虫のおうちを作りました。葉っぱを食べると聞いて園庭で探してきたり「この実も食べると思う!」と自分たちで考えて入れるものを選びました。

 

園庭でも虫探し

園庭でも虫を探す毎日ですが、夢中になりすぎて自分たちが作った虫カゴを忘れています。それも保育者は指摘しません。何かを忘れるほどの熱中なら、それは大歓迎です。大人の物差しで決めてはいけません。代わりに近くにあった砂場の道具を使っています。あるもので工夫して対応する。これも立派な生きる力です。

 

虫さんの気持ちになってみる

「ダンゴムシさんの通り道なの。」と言ってスコップを繋げて道を作っていました。結局ダンゴムシさんはそんな早いスピードで段差を乗り越えられるわけはないのですが、子どもたちはダンゴムシさんのために一生懸命です。

 

図鑑を見て現実の問題解決に役立てることができる

図鑑を片手にみんなに虫の飼い方を教えて回っていました。図鑑と現実の問題を照合して解決に向かうことができる力の基礎がこの子にはあります。そして大切なのは1人で満足して完結せずに、仲間に教えて行くという行動をとっているということです。これが主体的に加えて対話的であるということです。

 

虫のおうちの改善

図鑑の例を元に、虫のおうちを作り替えます。虫や草などの餌となるものを一度取り除き、土の量を増やして、虫や草をまた戻します。保育者がやってしまうのではなく、これも子どもたちが自分で考えて調べて実行します。楽しそうに行っていました。

ただ虫を捕まえて終わりではなく、図鑑の見本を参考にしたり、お兄さんお姉さんに聞いたり、みんなで話し合ったりして、虫の生態を観察するという活動になりました。

触ると危険な虫もいるので、保育者が見極めながら自然に触れる遊びを展開していきたいと思います。