焼き芋の日、第三回です。
実はこの日、雨でした。これまで読んでくれた方はお気付きの通り、「とんでもない雨女」を自称する担任の行事は全て雨になるのです!(もちろん偶然ですが)
午前中の企画は室内なので行うことはできる。しかし、昼からの焼き芋本番は雨ではできない。延期にすると日程が限定され、12月になってしまう。そうすると寒すぎるし、さつまいもが腐ってしまう。カメラマンさんの手配もできない。仮に今日このまま結構すると雨の中では湿気がすごくて薪に火がつきにくい。
遠足に続いてまた中止にするしかないのか。決断を迫られる園長。どうする。
「絶対に焼き芋をさせてあげたいです!」
園長に進言する保育士たち。私も同じ気持ちですよ。遠足の涙を忘れたわけじゃない。やりましょう。
全クラスの保育士の配置を再編成、予定を再確認、最大限の人数を雨対策に回すよう指示。園長が指揮をとり、保育士たちと雨に濡れながら園庭にブルーシートやテントで屋根を作っていきます。ただし時間がない。雨が本降りになれば中止にするしかない。
その間に子どもたちは、担任と一緒にてるてる坊主を作ります。雨が止むよう願いを込めて。その間にこちらは雨対策の作業を急ぎます。
みなさん、覚えていますか。園長が「めっちゃ晴れ男」であるということを。遠足の延期の日も波浪警報で中止になっただけで雨で中止になったわけじゃない。
今日も午後からは担任ではなく私の企画。そう、私がいるなら晴れてくるはず。そう思っていたら本当に晴れてきました(偶然だけど)。
まぁ、そうじゃないんですよ。結局、子どもたちのてるてる坊主と、保育士の想いが雨を吹き飛ばした。それで良いんじゃないかなと思うんです。奇跡ってのは願うところから始まる。
いつもの給食もお弁当箱に詰めて外で食べたらピクニック気分。特別な日に大変身。雨も降っていないし、これから焼き芋もできる。最高の気分で、最高の笑顔です。
その笑顔が見たくて、私たちは頑張っているんです。
外の雨対策も終わりました。今は降っていなくても、いつ降ってきてもおかしくない天気です。対策は万全にしておく必要がある。
焼き芋の準備が始まりました。まずはさつまいもを水で濡らして新聞紙を巻いてアルミホイルを巻いていきます。さつまいもの用意が完了したら、薪の用意です。
薪割りなんてしたことがない人が大半でしょう。安全な方法で割っていきます。体験で人は育つ。拾ってきた枝も良いけど、こうやって自分たちで薪を作るのも楽しい。危ないことってのは楽しいんですよ。スリルがあって。
園長が火付けを実践して見せています。みんなが拾ってきたものを使って火をつけて、そこにみんなが用意したさつまいもを入れる。そりゃ、笑顔になりますよね。こんな体験、ワクワクするに決まってる。
この後自分たちで火付けをして薪をくべ、芋を焼いていきました。
1時間ほどで焼き芋完成。食べ方も知らない子が多かったですね。美味しい美味しいと言いながら食べてました。「みんなで作ったから美味しい」なんて発言も。そういうもんです、焼き芋は。みんなで食べた方が美味しい。
食べ終わったらちょっと自由時間。ハンモックで遊びます。これだけ入っても楽しいんだから、仲が良い証拠です。仲が悪いと「せまい」「どいて」という言葉が飛び交いますから。触れ合っても心地良い関係。それが仲間です。
火の神からもらった火をじっと見つめる。この火を薪にくべることでキャンプファイヤーが始まります。楽しい時間の幕開けです。
子どもの真剣な表情って良いですよね。
大人も子どももありません。火を囲んだらみんなお友達。楽しくダンスをします。踊りたい曲も子どもたちで決めてあり、今日まで何度も練習してきました。1日の終わりを特別な時間が締めくくります。
火が虹色に変化する魔法の粉を園長がキャンプファイヤーの中に入れました。様々な色に変化していく火のゆらめき。虹色の光。
最後に子ども達に感想を聞いたところ「みんなが笑顔で楽しかった」「先生がいっぱい準備してくれたのが嬉しかった」などこちらの涙を誘うような発言がたくさんありました。
ちょっと前はどうだった?と聞くと「楽しかった!」しか言わなかった子達が、自分よりも他人の笑顔や職員の愛を語るなんて。
no rain,no rainbow(雨が降らなければ虹は出ない)。
雨という試練があってこそ、美しい虹を見ることができるというハワイのことわざだそうです。
遠足に行けなかった過去と、今回も雨で中止かもしれないという試練を、子どもたちと保育士で乗り越えたから、こんなに素敵な時間を過ごせたんでしょう。
鼓笛では子どもたちの力で困難を乗り越え、焼き芋は保育士も一緒になって困難を乗り越えた。一回り成長した子どもたちの姿がここにあります。
次回、クリスマスツリー作りプロジェクトで、子どもたちの成長が加速します。