令和4年度は行事の様子を中心にブログを進めてきましたが、今回のクリスマスツリー作りは令和3年度と同様に、細かい子どもたちの様子をご覧いただく構成で進めていきたいと思います。

長くなるかもしれませんが、お付き合いください。

 

 

♯1

まずは345歳児合同で行うクリスマス会で5歳児クラスとして何をするか話し合います。

 

みんなが見えるように丸になって話し合う

3歳児クラスは会場飾り、4歳児クラスはゲームを担当することがすでに決まっていました。焼き芋の準備に時間を割いていたので、他のクラスと比べてスタートが遅れているんです。

 

全体のバランスなど考えられないので、各自がやりたいことを発言しているだけです。「お店やさん」「ツリー作り」「クリスマス飾り」の3案しか出ません。

 

とりあえず作ってみよう

幼児は言語能力が乏しいので、話し合いだけで意味を理解して進めることはできません。5歳児クラスは結構喋れるので、言葉に頼る保育をしがちですが、そうではなく、子どもは体験を通して理解し、学んでいきます。

 

そこで、クリスマスプレゼントになるものと飾り、好きなものを各自が試しに作ってみようということになりました。

 

七夕まつりの時よりも会話が弾みます。自分はサンタさんにクリスマスプレゼントで何をお願いしたとか、ランドセルの色は何色にしたとか。笑い合って楽しそうな雰囲気。

 

しかし、私はこれは良くない方向に進んでいるなと思いました。この時担任は気付いていませんでしたが、活動に何も集中していない。頭を使っていない。夢中になっていないから無駄話をする余裕がある。関係ないことを話しながらできるものを作っているだけで、これは遊びではなく「作業」に近い。成長にはつながらない。

 

作品をみんなで見ているけど

確かに昔に比べて作品の質は大きく向上している。他の子の作品に興味も持っている。だけど、これはあくまでも個人で作った作品を最後にみんなで見ているだけです。同じことをしているから、一見一緒に活動しているように見えますが、これは平行遊びです。1人遊びが横並びになっているだけ。

 

これは協同的な遊びではない。年長児の育ちとしてはかなり物足りない。

 

夕方、担任と園長で振り返りを行いました。クリスマス会までそんなに時間がない中で、ただ個々の遊びが進むだけでは協同的な遊びに発展するはずがない。水族館も鼓笛も焼き芋も、保育士が一緒になってやった活動であり、七夕まつりもサポートが多めだった。このクラスはまだ子どもたちだけで本当の意味で協同的な遊びを体験できていない。

 

園長は保育士に答えを教えません。担任が一生懸命どうすれば良いのかを次回までに考えてきます。

 

♯2

仕切り直し

子どもたちがやりたいと言った活動の中でまだ試していないのがクリスマスツリー作りです。今回はツリー作りを試しに行う計画のようです。

 

まずは2人で一つの紙を用意してクリスマスツリーを描いてみることを担任が提案しました。何か考えがあるようです。ただ子どもに任せていた前回とは違う。

 

発表することで気付く違和感

みんなの前でそれぞれ発表をします。2人の発表なのに、それぞれがツリーを描いている。小さな違和感。そこに子どもたちが気付くのか。ドキドキしながら見守っていきます。

 

君たちならやってくれると思っていたよ

そうです。それですよ。2人で一つのツリーを描き始めました。1人で作品を作るんじゃなくて、誰かと一緒にやる方が楽しいってことに気付いてほしい。そういう意図が担任にあったのでしょう。うまくいきましたね。

 

少しずつみんなでやるという雰囲気が生まれていく

2人で作った自分たちの作品を説明しています。真剣に聴いている他の子どもたち。良く見たら後の2班も2人で描いてますね。良い感じです。1人遊びが2人遊びに変化しました。

 

終わったあと担任が「こういうことなんですね」と私に笑顔で言ってきたのが印象的でした。こういうことなんです。コツを掴んだら次に行ってみよう。

 

♯3

段階を踏んで体験する

次の回では3人組と4人組になって描くことで、さらにクリスマスツリーのイメージを広げていきます。それぞれのテーブルで活発な話し合いが行われながら描き進めています。人数が増えるとそれだけ話がまとまらない。4人もいればリーダーっぽい人が出てこないと進みません。七夕まつりの時もチーム分けで動いていましたが、わりと個人プレイでしたので「一緒に進める」という体験はここで初めて行われています。

 

心もつながる

一緒に悩み、解決するという体験は心をつなげていく。自然と手を繋ぎ、優しい気持ちが溢れていく。この日の2人はとても優しく、たくさんの人を助け、笑顔にしていました。

 

まだクリスマスツリーを作り始めるところまで行けていません。導入に3回も費やしたわけですがそれだけイメージの共有は大事です。クリスマスツリーがどういう形なのか、だんだんとみんな揃ってきました。どういうものを作れば良いのかが共通認識を持てている。そうすることで次回以降の取り組み方が変わってきます。

 

また、担任が子どもたちの協同的な関わりを促進する自分の関わり方をどうすれば良いのかのイメージを持てるようにすることも私の中でのねらいの一つでした。子どもも育ち、大人も育つ。それが理想の保育の形です。

 

次回はクリスマスツリー作りに実際に取り掛かっていきます。