水族館遠足プロジェクトその2です。前回は前日までの様子を紹介しました。
前日の天気予報では「雨」。
みんなでてるてるぼうずを作りました。遠足の行き先は水族館ですので雨でも中止はありません。こういうのも、子どもたちの心を一つにする体験になります。
当日、やはり雨。しかし、ただの雨ではありません。「大雨警報」です。私が作成した保育園の事故防止マニュアルには「大雨警報」では室外保育は中止となっています(当たり前ですが)。
事故防止の観点からすれば大雨警報で遠足を認めるわけにはいきません。しかも園長は保育園に残る。現地にいるわけではない。何かあったときに指示を出すこともできない。
決断は「延期」でした。
市の協力のもと、バスを借りる日程を調整し、延期する日が決まりました。あらためて、てるてるぼうずを作る子どもたち。
そんな時、担任から「私、とんでもない雨女なんですよね。私のせいです」という非科学的な責任発言が飛び出しました。
うーん。だったら「めっちゃ晴れ男」の園長が遠足に同行するようにしましょう。
延期した遠足当日。保育園の周りは晴れました。流石は「めっちゃ晴れ男」の園長の力です。
しかし、現地では「暴風警報」「波浪警報」が発令されました。そんなことありますか。なんで私たちの遠足の日程だけ、「警報」が出るのでしょうか。海の近くの水族館に行くにあたり、「沿岸近くの施設に重大な災害が発生する恐れがあると予想した時」に発令されるのが「波浪警報」だと気象庁のHPに書いてあります。無理です。行くことはできません。あの震災を経験した私たちは津波の恐ろしさを知っています。
バスの再調整ができない。決断は延期ではなく「中止」でした。
保護者の皆さんからも登園時に「中止が決まって親子で泣いた」「子どもが号泣した」「なんとかなりませんか」とたくさんのお声をいただきました。
わかっています。あの子たちの想いは知っています。このまま終われるわけがない。
それを見越して園長から早朝に保育士たちに指示が出ていました。
「遠足に負けないくらい楽しい企画を考えて子どもたちを笑顔にしよう」
保育園全体を使ったお魚探しゲームが始まりました。乳児さんのクラスにもお邪魔して、チームごとに魚を探していきます。いろんなところに隠されている魚を探して、台紙にシールをもらう。そう、水族館でやろうとしていた企画の一つです。
手作り図鑑もみんな持っています。全クラス協力のもと企画が進みます。5歳児だけの問題じゃないんです。
子どもたちから「保育園を水族館にしよう」というアイデアが出ました。今まで作っていた作品を展示し直します。
遠足が中止になったら「仕方がない」と受け入れて落ち込むのが普通の子どもでしょう。でも、うちの園児は違います。自分たちで楽しく世界を作り変えることができる。
私たち大人が子どもの姿から、たくさんのことを学ばせてもらっています。
作った水族館には保育士が作った水槽のトンネルが。子どもだけでなく、大人も一緒に一つの目的に向かって協力する。私たちの愛は形となって子どもの目の前に用意される。
鬼ごっこが始まりました。部屋の中には笑い声しか聞こえません。
3月に何が楽しかったかを子どもたちに聞いたら、このトンネルが楽しかったと言った子がいました。ありがとう。先生たちは朝から必死で準備しました。みんなが喜んでくれて嬉しいです。
遠足って、水族館に行って魚を鑑賞することやイルカショーを観ることが目的のように大人は感じてしまうけど、そうじゃなかったんだと子どもたちの笑顔が教えてくれているような気がしました。
みんなで協力したり、笑い合う。楽しい時間を共有することが「遠足」なんじゃないかと私は思いました。
今回の遠足は、保育士が一方的に用意して連れていくものではなく、子どもたちと保育士で一緒に作り上げた素敵な時間となりました。
これがプロジェクト保育です。普通の保育園とはちょっと違うって思いませんか。主体的・対話的で深い学び。子どもたちが自ら進んでお友達同士関わり合いながら学んでいく。それが行われていたことがわかります。
保育士たちの熱意と愛によって子どもの気持ちが繋がっていった2ヶ月間(4〜5月)でした。
さて、こんなスタートになりました令和4年度ブログです。いかがでしょうか。
この先の予定を予告しておきますと
七夕まつりプロジェクト(6〜7月)
鼓笛プロジェクト(7〜10月)
焼き芋プロジェクト(10〜11月)
クリスマスツリー作りプロジェクト(11〜12月)
生活発表会(12〜2月)
卒園式(3月)
お別れ会(3月)
となっております。お楽しみに。