遠足が延期になり(最終的には中止になったけど)、その分、7月の七夕まつりの準備への取り掛かりが遅くなった令和4年度の5歳児クラス。急いで準備に取り掛かります。

 

まずは七夕まつりでやりたいことを話し合い、駄菓子屋さんを出店することに決まりました。

 

チームに分かれてイメージを広げる

まずは導入です。駄菓子屋さんのイメージを絵にしたり、話し合ったり。協同的な活動をするためには「イメージの共有」が大切です。目指すゴールがバラバラでは、やることも気持ちもバラバラになってしまいます。

 

一番手前の子は現場監督の風格で見ていますね

どうすれば良いのか、周囲の人がどんなことをしようとしているのか。よくお互いに見合うようになりました。水族館遠足プロジェクトでは個々に作品を作り、後で飾ってあるものを見て時間差で刺激を受けていましたが、6月の時点でもう周囲を意識しながら同時に自分の作業を進められるようになっています。

 

駄菓子屋にもレジが導入されました

左手前の子はレジを作ったようです。右手前の子は買い物かばんを作っています。保育士は誘導せず、子どもたちの気付きや工夫を大切にしていきます。数字への興味が年長さんには見られます。自主的に数字を学ぼうとし、使おうとする。勉強とは本来、楽しいものなのです。

 

お店屋さんとお客さんに分かれて、接客の仕方について試しています。

 

本番の位置で開店準備

実際に本番の位置に開店準備を行い、3歳児と4歳児の子をお客さんに見立ててリハーサルを行います。開店準備は時間を指定しているため、決められた時間に間に合うように準備をするという学びがあります。大人でも仕事が遅い人は終わりの時間を意識していないことが多い。与えられた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮できるような子にしたいと思っています。

 

異年齢交流

駄菓子と交換する「お金」を配ります。駄菓子屋さんに何が必要かを子どもたちに考えてもらい、必要なものを自分たちで作ってもらいました。お金もその一つです。先ほどのレジもそうですし、実際のご家庭での買い物体験が遊びにつながっていきます。

 

待っている子も楽しい

まず3歳児クラスがお客さんになります。その間4歳児クラスは待っているわけですが、楽しそうですね。ワクワクしているんです。私たち大人は待っている間も楽しいなんて思ったのは何年前でしょうね。

 

待っている間も、先に買い物を行っている子どもの様子を見ていて、観察学習になっています。どうやって買うのか、何が正しい行動なのか。全体を見渡せる位置で待ってもらっています。これも保育士の工夫です。

 

店員さんに見えるくらい堂々とした接客

子どもって労働なのに楽しそうですね。私たち大人も労働を楽しいと思ったのは(以下略)。

 

私は保育園の園長をしていて楽しいですけどね。こんなに素敵な子どもたちに囲まれて幸せです。その様子を皆さんにお伝えしているのも、幸せのお裾分けですね。

 

空間の使い方の勉強

陳列の仕方の工夫が始まりました。どうすればお客さんから見やすい商品の並べ方になるのか。リハーサルをしたからこそ気付く視点。

小学校の図形問題の基礎がここにあります。遊びの中で空間の使い方や考え方を学んでいる。そして、お客さんを意識した配置を考えるという、人間関係領域の育ちにもつながります。

ちなみのこの駄菓子屋さんはガム屋さんです。他にもグミ屋さんなど子どもたちが考えたお店が出店しています。

 

観察者の視点を入れる

リハーサル後は、陳列だけでなく接客が課題になったので、店員さん、お客さん、観察する人(カメラマン)に分かれて練習します。

観察する人は客観的な視点で見てアドバイスをします。お互いに高め合う接客スキル。

 

ソーシャルディスタンス

リハーサルでわかったもう一つの課題。それはソーシャルディスタンスが保てないということ。店の前にお客さんが集まってしまっていました。

 

そこで出た解決策は、足元に印を作ること。待機列のバミリをするというアイデアです。コロナ禍に生きる子どもたちだからこそ出てくる視点かもしれませんね。

 

文字への興味

待機列のバミリに文字を書く子がいました。それを見て自然と集まってくる子どもたち。文字を書ける子がかっこいい。僕も書いてみたい。そういう憧れから学習意欲が湧き上がる。

 

アイデアがすごい

待機列の印を作るのは良いけど、距離感がめちゃめちゃでした。そこで登場する、黄色いスズランテープ。これを同じ長さにすれば、みんな等間隔で印を作ることができる。広がるアイデア。

 

こんな感じで古代には米作りのやり方とか土偶の作り方とか広まって行ったのかなぁとふと思いました。良いものは良い、普通に真似る。言葉はいらない。

 

みんなでやらなければ意味がない

時にはうまくいかずに泣いてしまう子も。自然と集まる仲間たち。優しく声をかけていく。保育士は何も教えていない。優しさは教えるものじゃないんです。体験の中で自然に育まれていくんです。保育士が声をかけてしまっては、子どもたちは保育士に対応を任せて自分たちの遊びだけしてしまう。優しさが育たない。子ども同士の関わりが広がるように工夫しています。

 

こうやって助け合いながら、準備期間は終わりました。

 

本番の準備も着々

本物の笹に短冊や飾りをつけたりします。準備も楽しいって顔してますね。

 

次回は本番の様子をお届けします。駄菓子屋さんプロジェクトだけでなく345歳児七夕まつりの様子もちょっぴりお伝えしてみます。