345歳児合同プロジェクト「お別れ会」その4です。
今回は5歳児の様子を見ていきましょう。
#8
絵本を作るという目的とお店屋さんごっこ的な遊びでおもてなしをするという目的が入り混じっている状態ですが、それが今後どう融合していくのか。そこが注目ポイントです。
手伝いたい右の子が左の子の作品に勝手に色を塗り始めました。邪魔したいわけじゃなくて純粋に手伝いたいんです。でも照れ隠しでいきなり描いてしまったことからトラブルに発展しました。テーブルにいる4人全員での話し合いになっています。
描かれてしまった子は手伝ってもらうことは別に良かったみたいですが、水色ではなく青色で塗られたことが嫌だったということがわかりました。なるほどですね。
気持ちは通じあっていてもこういう細かい部分で人はすれ違うということがよく分かります。
こちらは前回のお店作りメンバーではなく、別の子たちが入って準備が進んでいます。前回、一緒に準備をしたかったけどモジモジしていて参加できなかった子も今回は入っています。たまたまお休みが出て構成メンバーが入れ替わっただけですが、人が変われば作品も変わるし、テイストも変わります。新しい風が入って一気に準備も進みます。
これにより、お店を行いたい子の人数が増えてクラス全体のまとまりが出てきました。
今日は何だか違いますね。ものすごい集中して絵本を完成させていきます。一年前はこういう製作系はまったくやろうとしなかったのに、すっかり好きになったみたいです。
自分の作品を書き上げると満足そうに「こんなもんで十分でしょ」と言って、みんなの作品を全て読み始めました。自分の作品だけでなく、他人の作品にも興味を持ち、仲間として思っていることがここからもわかります。
こちらのテーブルは先ほどは揉めていましたが、どうなったのでしょうか。
自分の作品の色塗りをお友達に任せて自分自身は別のページを進めています。自分の作品を丸ごと任せているのは相手を信頼している証拠です。
また手前の子たちも自分の作品に集中しています。もう大丈夫だと思っているんですね。つまり、こちらも仲間として信頼しているということでしょうか。
製作が完成し、どのように使用していくかの配置や方法を検討しています。もはや絵本を読むかどうかというより、どうお店を運営していくかに子どもたちの興味が移っている感じですね。
2人で始まったお店の準備も、今日は4人に増えています。確実に一歩一歩クラス全体に浸透していってるようです。
読書をしていた子が合流し、お客さん役として参加しています。お客さんが来た時にどのように接客するのかのシミュレーションを自然に行なっています。七夕まつりの時には、お客さんと店員さんに分かれてシミュレーションをする時間を作っていましたが、今はもう自然に遊びの中で練習ができています。遊びと仕事(店の運営)が混ざっているんです。
各自の作品の発表の時間となりましたが、突然「僕と一緒に呼んでくれる人!」と発表者が声をかけ始めました。「はい!」と勢い良く手を挙げる子どもたち。1人で作っているというより、みんなで作っているという意識が浸透していることがよくわかる瞬間でした。
「じゃあ、じゃんけんね」と仕切り始め、子どもたちだけで進めていきます。
「じゃあ、一緒に読もうよ」と至る所で一緒に読むかどうかの話が盛り上がり、逆に発表を聞いていない状態になりました。
「ねぇ、聞いてる?読んでいいですか?」と発表者たちがフロアに確認を求める場面も。読み手と聞き手を両方意識している証拠です。ただ読みたいから読むのではなく、聞いて欲しい人がいる。一体感を感じます。
先ほど一緒に作った本を、今度は2人で読んで発表しています。協力して作ったことに2人とも喜びを感じているんですね。1人で作るより、誰かと一緒に作る方が嬉しい。楽しい。そう思える子どもたちに育っているんだなと思うとちょっとだけ涙が出てきました。歳をとる度に涙腺が弱くなる園長です。
七夕まつりもクリスマス会も3チームに分かれての準備でしたが、今回はみんなで作り上げています。かつてないほどの一体感を感じます。
バラバラだった子どもたちが少しずつ一つになっていく雰囲気を感じ取っていただけていますでしょうか?