345歳児合同プロジェクト「お別れ会」その5です。やっと半分です。長いですね。

 

今回は3歳児と4歳児を様子を見てみましょう。写真多めで紹介していきます。

 

#9

 

個人の制作、テーブルごとにテーマの決まった絵を合同で描く、という流れですが、さらにみんなで作るという体験を重視し、「大きな紙にお絵描きをする」という段階に来ました。最終的に部屋いっぱいの大きさの紙にみんなで絵を描きたいので、その練習も兼ねています。

 

絵の具とペンに分かれます

手前は絵の具です。空を描いてみようということでスポンジを使って色を塗っています。

 

奥は細長い大きな紙に、これもテーマごとにお絵描きをします。前回はテーブルのサイズでしたが、さらに大きい紙になることで、ダイナミックな絵を描いていけるはずです。

 

ちなみに細長い紙ですが、何年か前にIKEAさんにいただいたものです。IKEAさんありがとうございます。活用させていただいております。IKEAさんだけでなく、いろんな方からのご好意で保育が成り立っています。プロジェクト保育は地域も巻き込んで行えると良いと考えていたので、自然とそれができているのは嬉しいことですね。

 

こうやって地元の方々の愛が子どもたちの保育環境を作っています。

 

 

お絵描きはIKEAさんの紙の上

紙の形状でお絵描きの内容も変化します。手前は植物、真ん中は乗り物、奥は人間がテーマです。一箇所で丁寧に描き続ける子もいれば、いろんな場所で描く子もいる。お友達に影響される子もいれば、お友達に影響を与える子もいる。

 

それぞれの場所で、それぞれのドラマがあります。

 

 

青い手

はい。そうなることは予想していました。そして、この子が一番最初にやるであろうことも。予想通りだったのでこの笑顔を見て思わず笑ってしまいました。

 

なぜこの子が最初にやると思ったのかというと「楽しい!」という感情に素直な子だからです。なんなら、やってほしいと少し思っていたくらいですね。期待というか信頼です。みんなを楽しい雰囲気に連れて行ってくれる、そんな笑顔です。

 

 

合作

4歳児の描いた電車に、3歳児が付け足して描いています。前回のテーブルごとに描く絵ではお互いの絵に干渉しないようにバラバラに描いていましたが、今回は誰かの描いた絵に付け足す、上から描く、そういった動きを多く見ることができました。

 

水色で窓を塗っていたり、青色で電車の上にあるパンタグラフと呼ばれる部品を描いたり。適当に描いているようで、ちゃんと合作になっているんですよ。ちょっとすごいことだと思いませんか?

 

 

白い手

青い手で盛り上がっている子を見て、白い手の子たちが現れました。楽しさの伝染。5歳児でもありましたね、楽しさは伝染する。

 

私が理想とする、笑顔の連鎖です。笑顔が笑顔を作る。そんな保育園を目指しています。

 

 

遊び、発見!

乾かしている紙と紙の間を渡っていくという遊び。ちょっとした瞬間に楽しいことを思いついて、実行する。すごく良いですね。すごく良い。遊びの天才たちです。

 

上手に渡っていましたが、失敗して転んで絵の具の上に落ちても、それはそれで面白いなぁと思います。きっと、子どもたちは笑うでしょうから。失敗が楽しい。素敵ですね。そんな気持ちのまま大人になれたら、私たちはもっと生きるのが楽になるんじゃないでしょうか。

 

いいですね。「失敗が楽しい」と思える子たちが、この保育園にはたくさんいます。

 

 

見てみよう

最後はお約束の、みんなで作ったものをみんなで見てみようの時間ですね。

 

「僕が描いたんだ!」

「見てみて、私の描いたお花!」

 

お互いに確認し合っています。通常、保育園では保育士に見てもらおうとする子が多いイメージがあると思いますが、主体的・対話的で深い学びの保育をしていると、仲間同士で認め合い、喜びを共有する子が増えていきます。先生にも受け止めてもらい、お友達同士でも受け止め合う。そうやって自分をたくさんの人に受け入れてもらう体験が自信につながっていくのです。愛に包まれて育っていく。

 

 

#10

 

さぁ、今回はそのまま3歳児と4歳児の続きです。

 

 

子どもの想いは一つも無駄にしない

元々の計画では、前回までを練習として、新しく大きな紙にみんなでお絵描きをして、5歳児に巨大な絵をプレゼントするつもりでした。

 

しかし、前回までの子どもたちの作品が素晴らしく、また練習で終わらせるのがもったいないと考え、計画を変更することに。3歳児4歳児が5歳児と一緒に遊びたいという意見があり、それをどうにか形にできないかと保育士が知恵を絞ります。

 

そこで出た結論が「今まで描いた絵を全て繋げて大きな絵を作る」というものでした。

 

 

自由に描き足す

今までの作品が全て一つにつながった大きなキャンパスに、各自が自由に描きたいものを加えていきます。足りないものは何か考える子も出てきました。

 

「木が足りないなぁ」

「もっとお花がほしい」

 

話しながら描いていきます。最初は紙の周辺だけを描いていますね。遠慮がみられます。

 

 

ど真ん中

時間が経つと周辺だけでなく真ん中にも描いていく子も出てきました。なかなか良い絵になってきていると思いませんか?

 

青く塗った空の上に描く子が60分間現れませんでしたが、もう少しでおしまいという時間になって変化が。

 

 

空に描くのは風

「台風だぞー」

「ビュー」

1人が描き出すと、数人が集まってきて、めちゃくちゃに線を引き始めました。

 

ちゃんと空だから風を描いているんですね。描きたいものがちゃんと全体の作品に合っている。周囲が見えている。いわゆる、空気を読んでいる状態です。空気を読みつつめちゃくちゃ楽しんでいる。素晴らしいですね。最高です。

 

 

想いがたくさん詰まった大きな絵

どうですか?

子どもの絵って不思議ですよね。大人になると描けない。なんとも不思議な味があります。上手に描くのが目的ではなく、楽しいから描く。みんなで描くから、ますます楽しい。

 

 

ひっくり返す

完成した絵をひっくり返すと、何やらテープが貼ってあります。

驚く子どもたち。

「えー!」

 

保育士も楽しそうです。何かが始まる予感があります。

 

ワクワクするって、こういうことなんです。

 

 

言われた通りに切る

実は、これ、巨大パズルなんです。一緒に遊べるものということで大きな絵を完成させたら、それをパズルにして5歳児に遊んでもらおうというプロジェクトになりました。

 

いくら主体性を発揮させる保育とはいえ、それぞれにハサミを持たせて好き勝手に切り始めると危険なので、今回は保育士が切ります。どこを切っていくかを一人ひとりに聞きながら、その子の希望の形にパズルのピースを切っていきます。

 

 

切り方は無限大

端っこを切り取るという、まさかの要求もありましたが、そんな無茶な要求もOKです。

 

いやぁ、これは面白いなと思いました。常識から外れた着眼点は大切にしたいです。全部のピースを完成させた後、「実はまだこれがあります!」と発表したら驚く5歳児を想像すると面白い。

 

子どものイレギュラーな行動を心の底から楽しめるのが良い保育士だと思います。

 

 

自分達で遊んでみよう

さて、完成したので、まずは自分達で遊んでみます。記録より記憶って昔どこかの野球選手がインタビューで言ってましたが、自分の体より大きいパズルを自分達で作って遊んだという記憶、多分大人になっても残るんじゃないでしょうか。

 

これだけの「楽しい!」を作るために、子どもたちの「笑顔」を作るために、保育士が準備にかなりの時間と労力をかけていたのを私は知っています。やってみるとわかりますが、きれいに紙を貼り合わせたり、テープを貼るのもすごく大変なんですよ。

 

頑張りすぎもよくありませんが、この子たちの成長の輝きを見てしまうと、丁寧に準備をしたくなるのもわかります。教育は愛なんですよね。自然に心の底から出てくる想い。幼児期の教育は遊びの中で育まれるわけですから、遊びは愛の中で行われるときに、教育的効果が出てくるということになります。

 

保育士の愛を感じてもらえると嬉しいです。