345歳児合同プロジェクト「お別れ会」その2です。

 

「ろくろ首革命」がもたらす5歳児の大きな変化とは?

前回の続きから見ていきましょう。

 

 

#4

前回、お化けの仕掛け絵本を見て驚いた子どもたち。普通の絵本を想像していた子どもたちの常識が壊れ、自由な発想が出てくる様子を見てみましょう。

 

ハードカバー

白い紙に描くだけが絵本ではありません。ハードカバーの登場です。どうすればハードカバーとページが共存できるか検討を繰り返します(一時間やってました)。

 

また、ストーリーがあるものではなく、図鑑的な絵本でも良いという感覚もあるようですね。

 

 

一心不乱

絵本作りのはずでしたが、違うものを作り始めました。2人とも違うものを作ってはいますが、世界観は共通しているようで、これは「一緒に作って」います。私も保育士も、何を作っているか聞きたい気持ちをグッと堪え、展開を見守ります。

 

 

うさぎ?

うさぎを作っていると教えてくれました。うさぎ?動物の顔を折り紙で追って、そこにもつところをつけています。保育士がペープサートで見せるようなイメージなのかもしれません。

 

もう一つの細長い紙は何なのでしょうか?

 

 

みんなのため?

急いで完成品置き場に向かいます。各自が作った作品名を見て細長い紙にタイトルを書いています。自分達だけでの作品や遊びではなく、最初からみんなと繋がっていたようです。

 

「入れて」「いいよ」という一緒に遊ぶかどうかの声かけってあると思うのですが、そんなことは不要になったようです。もう、このクラスの子どもたちの心は、とっくに繋がっているのかもしれません。

 

でもタイトルを書いて、どう使うのかはまだわかりません。

 

 

オリジナルブーム

前回のお化け仕掛け絵本の衝撃は、みんなに頭の中にあるものを作品にしていくというブームを生み出しました。こちらはろくろ首のコピーです。この世に完全なオリジナルというのは存在しません。みんな何かの影響を受けて真似たりアレンジしたりして生きています。これで良いのです。

 

この子はこの後、サスペンスな物語を書き上げるのですが、なかなかに面白い内容でした。真似から始まり、オリジナルに移行する。そういうものです。

 

例えばファッションも、誰かのコーディネートを参考に、つまり真似から始まりますよね。そのうち自分でコーディネートを考えられるようになっていく。オリジナル思考の入り口である真似を否定してはいけないのです。

 

 

触発される子どもたち

絵本を作らず、お金を作っています。みんなの中で絵本作りという目的が少しずつ変化していっていますね。絵本作りという常識が破壊されているからです。一見、各自が好き勝手遊んでいるだけにも見える。これは保育士泣かせの展開ですね。どう評価して良いのか迷う。

 

ほとんどの園では、これをよくない行動と判断、評価すると思います。この好き勝手やっているように見える子どもたちがどのようにまとまっていくのか。そこに注目して最後までご覧ください。

 

 

にじ

お金を作った後、絵本作りを開始しました。誰も促したり指摘していません。自分でちゃんと全体の流れに戻ってきました。

 

3歳児は「にじ組」です。にじを描いています。ちゃんと3歳児4歳児にプレゼントするという趣旨を忘れてはいません。そうです。最初から、この子を信じているだけで十分なんです。

 

 

うさぎ革命

絵本を読む人、うさぎを手に持って動かす人。このウサギが読んでいるという世界観で読み聞かせを行うつもりのようですね。

この発表を聞いて、他の子たちも世界観を理解しました。読んであげるんだというイメージを強烈に持ちました。

 

絵本を作ってプレゼントするのではなく、読んであげることに重要性を持つようなイメージが共有されたんですね。作るメインではなく、おもてなしをすることがメインに変わったということです。これを「うさぎ革命」と名付けましょう。

 

 

絵本を作るという常識が破壊され、「うさぎのように絵本以外も作って活用することで、3歳児4歳児をおもてなしをする」という新しい価値観が生まれたんです。

 

 

#5

 

一方3歳児と4歳児は、前回の続きを行います。5歳児へのプレゼント作りですね。

 

 

いすもありがとお

文字、メダルまで4歳児で作っていますね。文字が鏡文字とか微妙に間違っているとか、そういった問題はどうでも良いのです。これは正しく書くとか作るのが目的ではなく、気持ちを表現することが目的だからです。卒園する5歳児に、感謝を伝えるプロジェクトですよね。

 

目的を私たち大人が見失ってはいけません。どこに価値があるのかを常に考えながら子どもたちを見ていくことが大事です。

 

 

シナモン

こちらはシナモンが好きだという5歳児に、ヤクルトの容器で立体のシナモンを作ってプレゼントしようとしています。本体に立体的な耳をつけることに相当苦労しているようです。のりではくっつかないことにこの後気付くわけですが、誰かのために頑張れるって、すごく素敵なことだなと思うんです。時間がかかったって構わない。

 

ここで耳の付け方を大人が教えてしまったら、自分で作ったという自信を持てなくなってしまう。困った時に自分で考えて解決しようとしない子になってしまう。苦労して耳をつけることができたら、それはこの子の中で良かった思い出や体験として残ります。

 

 

ライトブルーの輝き

こちらは水色が好きな5歳児へのプレゼントとして、水色の装飾でプレゼントボックスを作っています。ビニールテープが勿体無いと感じる人もいるかもしれませんが、この子がそうしたいのであれば仕方がないですね。誰かのために一生懸命努力をしているこの姿を、この輝きを、私は止めることはできません。

 

 

手についた

プレゼントを作る途中で、一人ひとりに様々なドラマが生まれます。紙にオレンジのペンで描いていたつもりが、押さえていた左手にインクがついてしまったようです。どうすればインクがつかないように押さえて色を塗れるのか。それをこれから考えていくことでしょう。

 

長くなりすぎるので個人の成長を全部はお伝えできないのが残念ですが、確実に一歩一歩成長していっているのです。