3歳児では「家族」をテーマにした言葉の発達を促せるようなプロジェクトとして「家族おままごと」を行うことにしました。
このクラスはおままごとが本当に大好きなので遊びが深まりやすいだろうと見立てています。特別なルールは一つだけです。おままごとを行う前に「誰役なのか?」を1人ひとりに聞いて発表してからスタートする。それだけです。途中で役が変わることもありますが、それも自由です。とにかく、スタートだけ整えてから始め、変化を見ていきます。
家族を構成するにはまず複数の家庭が必要だろうということで、テントタイプの家を複数用意しました。密になるので完全密封タイプは使いません。それでも混雑してます。
ままごとセット、赤ちゃんの人形、エプロンなども自由に使います。
第一回ではなぜか「地震でーす!」と誰かが叫ぶたびに避難するという遊びが繰り返し行われます。我が子の上に覆い被さることで守る「お母さん」。頭で考える前に体が勝手に動いているのです。地味にすごくないですか?
地震により家が倒壊しています。この日はずっと地震ごっこです。「危ない!」「隠れて!」などと言い合いながら下敷きにならないように遊びます。
倒壊した家を建て直す子や「新しい家を持ってきたよ!」と仮設住宅を建設する子が各地に現れます。遊びというのは不思議なもので、破壊的な行動の後には、ちゃんと修復しようという力が作用することがほとんどです。子どもの心を信じるだけでちゃんとハッピーエンドに持っていってくれたりします。
倒壊した家に襲いかかる「お兄ちゃん」。何があったのでしょう。ナイフを手に「うおおおお」と叫んでいます。この子は普段はこういうキャラクターじゃないんですがすごい演技派なのかもしれません。もちろんポーズだけで人を傷付けることはしません。
これから物語はこの子を中心に進んでいくことになります。
「お父さん」と「お母さん」が一緒に住み始めました。彼らはどこにでもいる普通の夫婦です。そう、あの時までは・・・。
どんな怪我でもどんな病気でも治してしまう「スーパードクター(左)」と「看護師(中央)が誕生しました。我が子を医者に診てもらう右の子は「お母さん」です。行列ができるお医者さんです。
スーパードクターはこの後お休みが続いてしまい残念ながら退場となりますが、ドクターの意思と技術を看護師が継いでいきます。2代目ドクターと呼称します。
それから、ここで出てくる「お母さん」ですが、実は「おばあちゃん」であることが後に判明します。さっき出てきた「お母さん」の「お母さん」だから「おばあちゃん」です。
今日も「お兄ちゃん」は家を襲います。本当にどうしてしまったのでしょう。窓から家の中を覗く姿は完全にホラー展開です。
実はこの前にピンクの家に入りたい「お兄ちゃん(弟)」が家の主に入れてもらえずに泣いていたのを見た後の行動でした。もしかして優しい子なのかもしれません。
「あなたは大丈夫よ」
そう優しく声をかけ、笑顔で料理を振る舞う「お母さん」
みんな自然とこの家に集まってくるようです。まるでみんなの「お母さん」のようです。
家を襲っていた「兄弟」の実家は、どうやらこの「お母さん」の家だったようです。不安定な思春期の兄弟を子どもに持つ家なのかもしれません。赤ちゃんも見えますね。もしかしたら、下の子が生まれて不安定になっているのかも?
<次回予告>
「お母さん」を追いかける「兄弟」たち
倒壊する家と空っぽのお店
交錯する親子の物語はどこへ向かうのか
3歳児による社会派ドラマは次の展開へ
家族とは何なのか?
本当の絆とは何か?
そして人が生きる意味とは?
次回「家族、再生」
みなさん、後編でお会いしましょう!