5歳児七夕まつりプロジェクト第六回、直前準備編です。

前回は子ども達の成長の輝きが眩しすぎて大人の目に涙が!というお話をお届けしました。今回は七夕まつり本番を直前に控えた前々日と前日の様子をお届けします。

 

ムードメーカー

前々日では制作の最終段階となりました。何が足りないのかを尋ねると「景品が足りない」とすぐに気付く子ども達。まずは現状、それぞれのチームで何個ずつ景品があるのかを数えることに。

金魚チームでは順調に数えていましたが100を超えてしまい、数え方がわからなくなってしまいました。担任を呼び、一緒に数えています。手前の子はカメラに向かってふざけていますね。この瞬間は活動に参加していません。

 

でも、これで良いんです。皆さんの職場にも仕事をこなすよりも周囲を明るくして人間関係を円滑にするムードメーカーの人はいませんか?実は学術的な調査でも、そういうタイプの人間がいる組織の方が仕事の生産性が高いというデータもあります。この写真を見て、思わず笑ってしまった方も多いのでは?

 

この子は今、誰かを笑顔にしました。

 

それって素敵なことだと思いませんか?

 

ちなみに、この写真の後、すぐに自らの意思で参加しています。叱る必要なんてないんです。

 

数の理解も遊びの中で

現在のそれぞれのチームの景品数を数えた後に集合、次にお客さんが全部で何人になるのかを計算、最後にいくつ足りないのか(何個作れば良いのか)を考えます。

幼児期に算数のドリルをやる必要はありません。数を数えたり計算することが楽しいと思えるようにするのが幼児期では大切だと文部科学省も厚生労働省も言っています。

こうやって意欲がある状態で考えることが大事です。必要だから計算する。楽しいから参加する。だから自然と考える。

私たちは就学前に必要な能力はちゃんと身につくように考えて保育をしています。

 

いきいきと働ける職場です

それぞれが自分で仕事を見つけ、時に教え合い、自分のやりたいことに集中できる環境。素晴らしい職場です。私もこういう雰囲気の職場を目指したいものです。みんな本当に楽しそう。

 

意欲的に試しながら改善する

すごい写真が撮れたので、ぜひ解説したいと思います!

 

1 このプロジェクト始めるまでは一切工作などしなかった子が、自分の意思で作っています。大人にやらされているとか、みんながやっているからとか、そういうことではありません。100%自分の内側から来るやる気です。人はこれを「やる気スイッチ」が押された状態と呼びます。

 

2 何を作っているかというと「円柱の中に少し小さい円柱を入れて押し出すことで、中の弾が飛ぶ」という仕組みになっています。つまり、これは鉄砲の原型であり、射的から着想を得ているのです。市販の銃ではなく、自分の手作りの銃を作って同じように遊んでみようと考えたわけです。与えられたおもちゃではなく、自分で作る(創る)という遊び方です。すごい。

 

3 景品を作る時間に自分のやりたいことをやっている。これは我を忘れるほど熱中しているということです。こういう体験が積み重なると集中力になり、小学校で勉強に集中できるようになります。

 

やるべきことをやっていないと叱る大人が大半だと思いますが、叱る前によく考えてみましょう。ちょっと前まで苦手で参加しなかった分野で周りが見えなくなるほど熱中して取り組んでいる。試行錯誤を繰り返し、改善することに喜びを感じている。これ以上の成長する環境がありますか?

 

ないんですよ。叱って止めてしまってはもったいないんです。目の前の子が今ぐんぐん伸びてると保育士が感じたら、それはあえて止めなくて良い。幼児期っていうのはそれで良いんです。

もちろん、時間になったらみんなと同じように遊びを中断して集合してもらいます。止めるのがダメっていうことではありません。時間という制限が来るまでは止めないというだけです。他の子たちが集団活動をしているのに自分がやりたいことを自由にやらせるのは教育としては間違いです。

なぜなら来年には小学校に入学するからです。わがままにやりたいようにやらせるのが主体的な保育ではありません。集団にしっかりと適応できるようになって卒園してもらうまでが、私たち保育園の責任であり使命です。

 

みんなで仕上がりを確認する

時間内にある程度景品を作り終えることができました。チーム関係なく、みんなで確認します。景品作りはこの日で終了。

 

 

さて、ここからは、前日の様子をお伝えしたいと思います。

 

お客さんを意識する視点

景品はダンボールに全部入れてありお客さんがその中から一つ選ぶというやり方でしたが、「赤い台を使う」という意見が出たのでやってみることに。

最初は赤い台の上にダンボールを乗せて「できた」という射的チーム。

「何の意味もなくない?」と金魚チームから指摘があり、考える射的チーム。

「あ、並べる?」

気付いてからは早かったです。

 

そのほうが「お客さんが見やすい」とメリットも理解していました。

 

最終リハーサル

前回、怒涛のように金魚すくいに押し寄せてルールを崩壊させた3歳児クラスの登場です。貫禄というか強者の風格すら感じますね。俺たちの通った後は草の根一つ残らないぜ!って感じです。

最強の敵の前に緊張感の走る金魚チーム!

今度こそ、1人ずつ行うというルールを守らせることができるのか?

 

Aチーム、リベンジ成功!

最初に「受付2人体制」という知恵を使い、見事に並んでもらうことに成功しました。子ども達で考えた作戦です。最初は景品を渡す人には仕事がないので、その時だけ大変なところにヘルプに入るという思考。

全体を俯瞰して見て一番必要な仕事を瞬時に見つけてすぐに実行できる。いやぁ、こういう人と一緒に仕事したいですね。

 

Bチームも成功!

「もう呼んでいい?」

「もうちょっと待って!」

「こちらにどうぞ!」

それぞれが声を掛け合って、こちらもチームワーク抜群です。

 

なんとか形になってきた輪投げ

いつも一生懸命な輪投げチーム。教えることに夢中になると笑顔や拍手をすることを忘れてしまいます。

「ありがとね」「お願い」と声を掛け合って協力する2人。今日は今までで一番ルールを守って行うことができました。リハーサル後は自分たちも「できた」という実感があったようです。

 

射的チーム最大のピンチが前日にやってきた

金魚すくいに殺到しなかった分、3歳児たちは射的になだれ込むことに。まぁ、そりゃそうですよね。こうなりますよね。

 

頑張って止めようと頑張る「受付」でしたが、途中から諦めて違う方向を見ています。これが「現実逃避」ってやつですね。「僕、関係ないし」みたいな表情になってますね。

 

「接客」と「景品渡し」は目の前のお客さんの対応に精一杯で、「受付」が困っていることに気付くこともできません。

 

自分の力で乗り越える

突然、気合を入れて3歳児を整列させ始める「受付」。

仲間も一生懸命やっているんだ、僕も頑張るんだ。そんな心の声が聞こえてきます。

カッコ良すぎて園長の目がうるうるしちゃいます。

しっかりとソーシャルディスタンスを守った整列に戻すことができました。

自分の力で困難を乗り越える。小さな声で「できた・・。」とつぶやいた言葉を私は聞き逃しませんでした。

 

お客さんを他のコーナーに促す金魚チーム

次は4歳児クラスをお客さんとして呼んで最終リハーサルです。

先ほどと同じように4歳児が金魚すくいに殺到しました。受付2人体制で止めつつ、「向こうにも面白いゲームありますよー」「〇〇君、先に輪投げに行ってみて」などと促す発言が。

 

これは前回、「輪投げにお客さんが来るにはどうしたら良いか?」で出てきた意見ですね。他のチームに促す。ちゃんと覚えていたのです。

 

チームで対応

スタートの合図と同時に金魚チームに止められ、射的に流れ込む4歳児たち。先ほどと同じ展開です。

さっきと違うのは、射的チーム全員で最初に「受付」をしていたということです。どうやら3歳児と4歳児の間に打ち合わせていた様子。まず流れを止め、整列をさせてから各自が持ち場に戻ります。

完璧な仕事っぷりです。

 

2ヶ月の集大成がついに

さぁ、前日の活動が終わりました。あとは夕方にお店のセッティングをするだけです。

子ども達は明日のために2ヶ月かけて準備をしてきました。

 

何をするか話し合い

0から自分たちで物を作り

チームの垣根を越え

接客の難しさを知り

どんなルールが良いのか考え

失敗を経験し

どうすれば良いのか知恵を出し合い

チームで解決に当たる

 

そんな毎日でした。

 

そして明日は本番です。

 

この七夕まつりプロジェクトの記事では、行事を行った結果を見せるのではなく、そこに至るまでの過程を丁寧にお見せすることで「子ども達の成長」を読者の皆さんと一緒に感じることを目的としています。

 

この子達の成長、感じていただけましたか?

遊びには無限の可能性があるんです。

 

そして大切なことは、子どもの力だけで創るという構造ではありますが、担任という保育士の関わり、設定の仕方、保育スキル、人間性、そういったものが子ども達とコラボレーションしているからこそ、今日の状態になったということです。

他の保育士ではこうはなっていません。特に、これを読んでいる保育や教育の関係者の皆さんのほうが、このプロジェクト保育の難しさを実感できるんじゃないかと思います。

 

明日が本番ではありますが、私は明日にあまり重きを置いていません。

 

結果がどうであれ、ここまで成長することができたということをこのブログで保護者の方や読者の皆さんにお伝えできたという事実だけで、私はこのプロジェクトを「やって良かった」と確信しています。

 

明日の本番も子ども達の成長の輝きが見られることを楽しみにしています。