5歳児七夕まつりプロジェクト第三回、制作編です。

前回、金魚すくいチームに景品が登場し、全体的に制作の意欲が高まっています。

 

景品作りブーム

金魚すくいチームは景品作りに夢中になります。この日はメダル作りがブームのようです。金魚すくいは射的や輪投げと違って的を作る必要がないので制作に全力を注げます。4月のピタゴラスイッチの時は各自バラバラに作りたいものを作っていたのに、たった一ヶ月でこれほどの成長が見られました。

 

土台の出現

的をただ置くのではなく、土台を作って的を貼り付けています。しかし、これでは的に弾が当たっても倒れなくなってしまいます。子どもの世界では的に「当たる」のが正解なのか、的を「倒す」のが正解なのかが曖昧なのです。

 

輪投げも土台ができる

輪投げも土台ができました。しかし、的と何の関係もありません。それどころか何を意図しているのかもさっぱりわかりません。しかも的は毎回作り直しては箱に入れています。前回作ってあるから今回作り直さなくて良いという「記憶のつながり」もありません。毎回新鮮な気持ちで制作していることは良いのですが、なかなか経験が積み上がっていかない姿に少し心配になります。

 

射的チームが教えてくれる

それを見ていた射的チームが「これってこっちじゃないの?」と壁にするのではなく土台にするんだということを教えてくれました。「あー。」と納得の輪投げチーム。

みんなで工夫し、みんなで成長します。

 

土台に的を接続する

前回教えてもらったので土台を下にすることは理解しました。そこで自分たちで気づいたのは的を土台に接続するということです。手前の子はそれに気付いていますが、奥の子は綺麗に飾ることが優先されているようです。

奥の子が間違っているのではない、という事に皆さんは気付けるでしょうか。手前の子は「接続する」という直近の目的に向かって即行動できる力を持っています。奥の子は自分なりの完成形を頭の中にイメージしていて飾り付けを優先しているだけです。飾り付けたら接続するつもりだと思われます。

つまり両方間違っていません。取り掛かりの優先順位が違うだけです。小学校では「違うことをしている」と注意されてしまうかもしれませんね。しかし、時間配分の中で優先順位を間違えないようにしていけば良いだけです。そこを育てていきます。

 

  • ゲストを呼んで接客練習

お互いにお客さんでは甘えが出てきます。この日は保育士をゲストとして呼んで、初めて外部の人間に接客をしてみます。

勝手にやらずに指示をまつ保育士に戸惑う射的チーム。そうです。店員としてお客さんには「説明」「促し」が必要であると初めて気付いたのです。これ以降、子ども達は制作から接客に重点を置いた活動に変化していきます。

ちなみに的は壁に設置するスタイルから地面に置くスタイルに戻りました。「倒れる」のが射的の目的であると自分たちで気付いたようです。

 

金魚チームの課題が見えてきた

プールの中に入らないというルールだけは存在していますが、それ以外はありません。人数も多いので店員としてそれぞれ好き勝手に動いています。大人の世界でもそうですよね。人数が多いとまとまりがなくなり、よく働く人とそうでない人がどうしても出てきます。

制作の上ではみんなを引っ張る金魚チームですが、接客という課題が見えてきました。

 

倒れることへの気付き

的を倒すのが射的であると気付いてから、的の置き方に工夫が見られるようになりました。この日はドミノ倒しやボーリングのように連鎖的に倒れることを発見し、試しています。物の性質の理解からの工夫です。

 

輪投げの意味

土台に的を接続することに気付いた輪投げチームですが、的に当たったら「あたり!」と言っています。倒れた的を直すこともしません。ここで私は大きな事実に気付きました。

「輪投げ」という名称では的に輪を入れるという意味が含まれていない。的に当たって喜んでいるが輪を投げるで「輪投げ」だから、それも間違いではない。

輪に入れるのが「輪投げ」だから的を頑丈にしなければならないと果たして気付くのか。大きな壁にぶち当たりました。

 

金魚チームにまとまりができてきた

接客が課題であると見えてきた金魚チーム。どうすれば良いのか少しずつ話し合う姿が見られるようになりました。まだほんの少しの希望ですが、何かを予感させるような瞬間です。

 

射的から金魚すくいへ

金魚チームの子に射的チームの子が手伝う姿が見られました。うまく切れないのでテープを出してあげています。

 

輪投げから射的へ

射的の後の壁が倒れてしまっているのを見て、輪投げチームが手伝いに行きました。この辺りから自分のチームの垣根を超えて自然と助け合う姿が頻繁に見られるようになっていきます。

金魚から輪投げへ

輪投げチームが準備に集中しているのを見て、金魚チームの子が輪投げチームのペンをしまってくれていました。いつでも人のをやってあげる子はパターンでやっているだけですが、輪投げチームの様子を確認して「忙しそうだな」という顔をした後に行なっていた行動です。

状況を理解し、必要な協力をする。素晴らしい子どもたちです。

 

さて、制作編いかがでしたでしょうか。チームを超えて協力し始めた子どもたち。

次回は接客編です。