今日は4歳児クラスの砂遊びが2ヶ月でどう変化したのかを見てみましょう。

その場に誰がいるかで遊びが変わってくる

4歳児クラスと5歳児クラスで合同で砂場での遊びを何回か行ってみましたが、5歳児が砂場の大部分を使ってしまって、4歳児クラスが砂場の中に入って遊びが発展しませんでした。5歳児が仲間に入れてくれないのではなく、なんとなく先輩に遠慮する後輩みたいな雰囲気です。砂場の周りで虫を探したり、外にあるテーブルで料理を作る遊びや小屋に出たり入ったりを繰り返しています。遊びは個人的で、なかなか集団遊びになりません。

合同二回目の最後に2クラスがやっと一緒になる場面がありました。しかし、5歳児クラスがやっているのを4歳児クラスが近くで見ているだけという様子です。

 

自分たちで用意をします

さて単独クラスでの砂場がどうなるのか。ここから2ヶ月の変化を振り返ります。毎回自分たちで準備をしたり片付けるのが幼児クラスの砂場のルールです。春は裸足での砂場遊びを行います。足裏の刺激も発達には大事な要素です。裸足での活動は頭で考えるより感覚が優位になりやすく、自由な発想と動きが出やすいというメリットがあります。大人も砂浜で裸足になると童心に帰ってはしゃいだりすることがありますが、それと同じです。

 

自分の興味に合わせて遊ぶ

砂遊びに正解はありません。掘る、入れる、運ぶ、作る、壊す、見立てるなどあらゆる遊びをすることができます。遊びが深まるまでは、各自がやりたいことをバラバラに行うことが多いのです。虫を捕まえる子、木片で積み木をする子、1人で料理ごっこをする子など様々です。

 

水をひたすら運ぶ遊び

せっかく砂場を自由に使えるのに、小さなバケツで水を汲みに水道に行き、戻ってきて砂場に水を流すという遊びを繰り返していました。ほとんど全員が参加。しかもまだ気温もそんなに高くありません。何がブームになるか予想できないのが子どもの世界です。

 

みんなで集めた水

みんなが集めた水で砂場が池のようになりました。水を集めてくる子、みんなが集めた水で遊ぶ子。実はこういう役割遊びに発展していたのです。協働の芽生えです。「待っててね」「お待たせー」と言葉のやりとりも増えてきました。実際みんなとても楽しそうです。体操服のまま水の中に入ったり、水を自分からかけたり。砂というより水遊びになっています。もちろんそれでも構いません。砂遊びの計画だからといって、水をメインで遊んでは行けないわけではないからです。

しかし、遊びとしては工夫もなく水や泥の感覚を感じ取る遊びから広がりません。子どもたちが何かを発見したり創造したりしているわけではないことが気になりました。活動後、担任とミーティング。遊びが深まらないのは環境の問題であると認識し、改善を試みることにしました。

 

ついに砂遊びが本格化

スコップやお皿のある場所は砂場の中で水溜りになっている場所の先だったので道具を取りに行く前に水が気になってしまうから砂を掘ったりしないのではないかと仮定し、道具を奥ではなく手前に配置してみました。結果は大成功。複数人数での砂をメインにした遊びが次々と広がっていきました。

 

実験と観察

筒の中に砂を入れると砂煙が出てくることを発見。「火事だ!」「煙が出てる!」と大興奮。色々試してるうちに水を入れると煙が出ないことにも気付きます。「水で火が消えたんじゃない?」不思議な現象に子どもたちが自然と集まってきます。

 

様々な遊びが展開

池を掘ったり、山を作ったり、筒を使った遊びをしたり、集中して遊んでいます。砂場は必ず自分の興味のある遊びができるのです。

 

リアルおままごと

コンロに鍋を乗せてカレーを作る子、具材を調達してくる子、完成するのを待つ赤ちゃん役の子など、砂と水と遊具を合わせたおままごとが展開していきます。「もうちょっとでできるからバブちゃん待っててね」など会話も弾みます。

 

遊びは自然と2つにまとまる

最終的にはおままごとのチームと砂の不思議を発見するチームに分かれていました。水も使いますが、あくまでも補助です。砂メイン、そしてお友達とのやりとりがメインです。遊びが深まっている様子がわかります。

 

ついに遊びは合流!

一人遊びが多かった子も仲間に入り、自然と集団遊びができています。

2ヶ月前は砂場の周りでバラバラに遊んでいた子どもたちが、遊びを展開させながら最終的に砂場の中に収まり、一緒に遊ぶという様子が見られました。個人遊びから集団で対話をしながら遊ぶようになり、ただの水遊びから年齢相応の発見遊びや見立て遊びに変化しました。

砂場は遊びの全てが詰まっています。子どもを伸ばす最適の遊び場です。