てこの原理で玉を飛ばす装置の実験

回が変わっても一貫して玉が飛ぶ装置の改良をし続けていました。一つのことに集中し、仮設と検証を繰り返すことができるのはすごいことです。

協力して作業を進める物語チーム

周囲の子に「手伝って」「〇〇をやろうよ」と声をかけ、みんなをつなげるような発言がたくさん見られました。集団の中には遊びをリードする子、つなげる子、フォローする子などたくさんの個性が混ざり合い、複雑な色を作っていきます。まるで色水遊びのように子どもの個性が混ざり合う様子を大人はしっかりと見ていくことが大切なのです。

自発的な子どもの行動が優しい集団を作る

服が汚さないためにスモックを着ることに気付いた子がいました。保育者が指示したわけではないため、着用することに気付いていない子もいます。そこで、まだ着ていない子のスモックを集めて知らせてくれる子が現れました。先生の指示ではなく人の役に立つために自然と動いたのです。

水の性質に気付く瞬間

テーブルや床についた色水は乾いてしまうと紙やぞうきんではいくら拭いても落ちません。そこで少しだけ水をぞうきんにつけてから拭き取ると汚れが落ちることを発見する子がいました。偶然の発見から科学的な法則性に気付く。これが深い学びです。

大人が教えるより自分で気付くことの大切さが分かる

適当に拭くのではなく「適度に濡れたらぞうきんをバケツの上で絞る」「何度も同じところを拭くのではなく直線で拭き上げていく」「上に乗っているものから片付ける」など、毎回掃除をする中でどんどん工夫が見られるようになりました。もちろん保育者は何も教えません。やらされている活動ではこんなに短期間に成長は見込めません。主体的な活動は子どもの成長スピードを早めます。

掃除すら楽しむ子どもたち

最初は保育者の顔を見ながら褒めて欲しい様子で水を拭いている子もいましたが、大人の指示ではない掃除を繰り返すことにより、後半になると自ら進んで片付けをする子が増えました。奉仕の心とは見返りを要求するとか褒められるためにやるものではありません。子どもが純粋に行いたいから行っている姿はとても感動的でした。

実験か節約か、子どもたちも考える

ペーパータオルや絵の具をたくさん使用する子に対して「使いすぎじゃない?」と教えてくれる子も後半に何人か出てきました。物を大切にする心が子どもたちの中から生まれた瞬間です。大人に言われるより仲間から言われたほうが子どもは深く考えます。

物をシェアするのは心をシェアするのと同じ

自分が作ったものを「大事に使ってね」とお友達に渡す様子も見られました。本番前の「みんなで使おう」の提案もそうですが、物をシェアする気持ちも大人が強制するのではなく、子どもの中から生まれることに意味があるのではないでしょうか。

それぞれが遊んでいるようでお互いに影響し合っている状態

最初は個人でバラバラに遊び、水遊びと掃除する子という対立する雰囲気になり、ピタゴラスイッチと物語チームで2つの遊びが平行し、最後は色水を使った一つの遊びになりました。遊びがダイナミックに展開しています。ダメなはずの室内水遊びが集団の力で「大人も納得の水遊び」に進化しています。子どもの知恵、そして集団の力が育ったことがわかります。

子ども主体が基本だが保育者の存在もまた成長の材料

実験こそ遊びの真骨頂!偶然からの気付き、仮説を立てて試してみる、周囲を見てヒントを探す、色水の変化に目を輝かせる。夢中になったその熱量は他の子に伝染し、さらに場の熱量を底上げします。見ている保育者のワクワクも止まりません。ただ自由遊びをさせているだけではこういった展開にはなりません。環境設定や保育者の雰囲気作り、子どもの成長の邪魔をしない適度な介入があって遊びは深まっていくのです。

マーカーペンで色水作り

水性のマーカーペンを水につけると色が出るという気付きもすごいですが「絵の具を使うほうが色がつくんじゃない?」とその場にないものをプラスすることを提案した子がいました。常識や目の前の環境に縛られず、自由な発想ができる子だということです。もちろん保育者は絵の具を用意します。子どものアイデアを尊重し、その先にある気付きや成長に私たちは期待しているのです。

画像では黒に見えますが実際は不思議な色でした

絵の具が混ざる様子をみて「かっこいい色・・・」と思わずつぶやいた子の感性がすごく良いなと思いました。どんな色なんだろと見てみると、黒でもなく何色ともいえない複雑な色だったのです。これは何色かという名称を知っているという知識が重要なのではなく「かっこいい」と感じたその感性の良さが重要なのです。美しいものを美しいと感じる心。これは大人の押し付けでは身に着くものではありません。

そして子どもがかっこいい色だと感じた気持ちを知るために保育者もその色をちゃんと見てみることが大切です。子どもの感動を大人も同じように感じようとすることで、子どもは自分が見守られていると感じ、自分に興味を持ってもらっていると感じ、心がつながっていると感じていくのです。

思考力・判断力・表現力を養う

アドリブ劇はちゃんとナレーションの指示を聞き取り、理解し、最適な行動を考え、実行に移すという遊びです。これは学校で言えば担任の先生の指示を聞いて正しい行動を行うことと同じです。学校教育と同じ教育的効果がある遊びの提供をしているということになります。これが遊びの中で学ばせるという保育者のスキルの一つです。幼児教育施設では遊びが教育ですので、ただ大人の話を聞きなさいという指導ではなく、楽しみながら大人の指示を聞いて行動する体験をアドリブ劇では行うことができます。遊びにはどんな教育的効果があり、ねらいがあるのか。それを考えて保育の計画を立てるのが保育士です。

本番直前に緊張している様子

緊張感のある活動は、乗り越えたときに大きな達成感を感じることができます。また集団で成し遂げる体験もまた、一体感や所属感を強めることになります。学校も会社も社会生活というのは集団の中でうまくやる力が必要です。保育園の中で自由に遊ぶ体験をするだけではこれらは身に付きません。適度に集団での遊びを環境として設定することも大切なことです。プロジェクト保育は就学に向けた準備であるとも言えます。