令和6年度の七夕まつりプロジェクトも今回で最終回となりました。それぞれのクラスの物語は何度かの合同遊びで混ざり合い、溶け合い、一つの終着点に向かいます。そして今回は345歳児合同で行う七夕まつり本番に、012歳児が飛び入り参加します。

 

できれば今までの物語を読んでからこの最終回に辿り着いてほしいですね。全ての伏線を回収する最終回、スタートです。

 

 

♯4

勝者達の貫禄を見てください

七夕まつりは紙コップ投げ大会から。各クラスごとに紙コップを投げ、その勝者2名3クラス分、計6名が最終決戦に臨みます。

 

紙コップを遠くに飛ばした人が勝ち。紙コップの制作の工夫と投げる技術の組み合わせが勝敗を決めていく。頭が良いだけでもダメ、手先が器用だけでもダメ、運動能力が高いだけでもダメ。緊張に打ち勝つメンタルも必要です。

 

全てを満たす者に勝利の女神は微笑みます。

 

 

その笑顔は今までの頑張りを象徴している

優勝者は前日準備で立体物を作るのがうまかった5歳児。何かにひたむきになれる人だけが改良を重ね、勝者になることができる。

 

継続することの大事さ、何かに熱中することの喜びを、この子は感じ取っていることでしょう。

 

 

みんなで園長めがけて本気で投げる

最後はみんなで一斉に投げる。勝ち負けだけじゃなくて、みんなでやるから楽しい。そんな体験も入れていきます。

 

勝ち負けだけ考えて生きていくのはつまらない。勝ち負けを超えたところに人生の面白さは転がっています。

 

 

涙するのは悔しい証拠

負けて悔しい。もう一回やりたい。

 

悔し涙を流す男の子に寄り添う同じクラスの仲間たち。

 

4歳児の第5回も最初に気付いて行動したのは右の子だったし、手を繋いだのは後ろの子でした。あの日の優しさは偶然じゃなかったのがわかります。

 

昨日、クラス全員の似顔絵を描いて部屋に飾った。自分が描いた仲間たちが辛い時にそばにいてくれる。こんなに嬉しいことはない。

 

悔し涙は嬉し涙に変わっていきます。

 

 

ギャングとは仲間を意味する言葉(2回目)

「ママに会いたい」と泣き出す3歳児の男の子と、それを心配して駆け寄る仲間たち。

 

心配して声をかけるのは3歳児の第一回と第二回でギャングだった男の子と女の子。泣いているのもセロハンテープで固定する遊びをしていたギャングの男の子。

 

あの時はみんなを追いかけまわしていたけど、今は優しく話しかける。仲良くなった今なら素直に接することができます。ふざけて追いかける必要がない。気がつけば、仲間がそばにいる。

 

 

ピコピコハンマーがなくても言葉がある

5歳児。揉める男の子2人の間に入り、話を聞く女の子。あの時の自分は泣くだけしかできず、みんから優しくしてもらった。だけど今はみんなのために自分が言葉を使って解決しようとする。

 

男の子たちの揉め事の理由は「〇〇ちゃんの隣に座りたいから」だそうです。誰かを好きな気持ち、好きだからそばにいたい気持ち。それ自体を否定したくはない。どう解決すればいいのか・・・。

 

「誰の隣でもいいと思う。みんな仲良しだから」

 

そんなことを女の子が言いました。お誕生日会プロジェクトや合奏の活動を通して、動物電車を通して、そして日々の生活を通して、5歳児たちは「みんな仲良し」と言い切れるようになりました。

 

 

決めポーズは笑顔で

3歳児クラスの発表です。リハーサルでは5歳児と一緒に行った「ふれあいダンス」。本番は3歳児のみで発表します。

 

お兄さんお姉さんたちと一緒に作ったカツラを被り、笑顔でダンスです。

 

 

音楽はみんなを笑顔にする

その後はリハーサルと同様に、345歳児全員でタオルを使ったダンス。楽しいことはみんなで行いたい。

 

クラスだけのまとまりから、毎日を一緒に過ごす345歳児の幼児クラス全体のまとまりが出てきています。

 

 

ガタゴト走るよー

ラストは電車ごっこ。学年を超えて電車を作り、幼児室を走り回ります。

 

3クラスとも心を育てる時間になったなぁという印象がある今回の七夕まつりプロジェクト。途中から園長の私が担当したことも影響すると思います。私の願いみたいなものに子どもたちが応えてくれたようにも思えるからです。こういう子になってほしいという私たち大人の願いは、子どもの育ちに影響を与えるのかもしれません。

 

 

写真からも緊張が伝わってくる

続いて4歳児の劇。最後の練習と同じく、神様は2名です。

 

前半のそれぞれの役の演技のところは問題なし。いつも通り進んでいます。

 

問題は天の川を設置するところ。さぁ、どうなるのか。

 

 

神様より先に動く織姫たち

なんということでしょう。

 

みんなで天の川の設置を手伝ってしまいました!

 

これには思わず笑ってしまいました。そうだよね。演技より、君たちが神様を助けたいという優しさが勝ってしまう。それでいい。それでこそ君たちだ!

 

優しい行動が間違っているなんてことはない。これが正解です。

 

 

何度も渡ってボロボロのカササギ

その証拠にみんな笑ってる。笑顔がこれで正しかったと証明している。

 

苦労して作ったカササギ。その橋を超えて、織姫や彦星に会いにいく。愛情表現は抱きしめること。

 

見ているこっちも温かい気持ちになる。劇は大成功です!

 

 

3歳児と4歳児が注目していますね

ラストは5歳児の発表。まずは合唱です。

 

苦労して考えた歌詞。「キラキラゼリーはみんなのゼリー」という歌詞も今となってはこういう結末を予言していたかのように感じます。

 

「みんなで食べよう、仲良く食べよう」

 

この日に至るまで、みんなでたくさん笑って、楽しい時間を過ごしました。

 

 

その気持ちが明日につながる

合奏については、前回のリハーサルで休みが出て楽器を入れ替えていたり、その後に一度も練習をしていないことから、全員揃って演奏するのは10日ぶりくらい。もう結構忘れてたりして、うまくいかない感じに。

 

後で感想を聞いても「なんか変だった。」「練習の方が上手だった。」と自分たちでも評価していました。

 

でも、それでいい。合奏の一体感なんてそんな簡単に感じてもらっては困る。年長の君たちには秋の運動会で鼓笛隊をやってもらうんだから。いっぱい練習して、その時に一体感を得られれば良い。

 

実は最初からそう考えていました。これは、運動会につながるプロジェクトなんだと。

 

 

今日のこのモヤモヤを運動会でリベンジしよう。園長と一緒に!

 

 

緊張すると手を食べるのが乳児

ここで乳児クラスの登場です。0歳児、1歳児、2歳児クラスのみんなが合流します。お神輿と盆踊りの見学に来ました。

 

楽しさはみんなで共有したいんです。

 

 

左右にずらりと01234歳児

幼児って背の高さが違いすぎるから、低い子に合わせて背の高い子が変な姿勢になってますね。それも優しさ。自分のことだけ考えてまっすぐ立ったら、背の低い子が担げない。

 

お神輿を全園児に見守られて、担ぎます。

 

 

ダメー!のポーズ

七夕まつりを締めくくるのは盆踊り。345歳児が輪になって踊ります。

 

2曲ほど踊り、次が最後の曲。2歳児さんが好きな曲で、一緒に踊りたくなりました。

 

 

幼児クラスの子どもの優しさに感動する乳児クラスの先生たち

乳児クラスの子を迎えに行く幼児クラスの子どもたち。次々に手を取り、自分たちの輪に迎え入れていきます。

 

手を繋ぐ。今回の4歳児を象徴する行動ですね。あの日、4歳児の新メンバーの手を強く握った小さな手。今日は優しく乳児クラスの子の手を握っている。

 

 

僕らの今が途切れないように

牛乳パックを両手にはめていた時は、誰の手を掴むことはできませんでした。

 

仲間との絆があるから、乳児クラスの子の手を握ることができる。自分が安心しているから、手を繋ぐことで年下の子に安心感を与えることができる。

 

しっかり前を向いて歩いていける。

 

 

抱きしめたい

手を繋ぐだけじゃなく、その手は誰かを抱きしめるためにある。自分よりも小さい存在。無条件に可愛がり、大切にする。その手は乳児クラスの子に愛されているという感覚を与えていく。

 

 

中川ひろたかさんの絵本にはこんなことが書いてあります。

 

「おおきくなるっていうことは ちいさなひとに やさしくなれるってこと」

 

成長するってことは、小さい子に優しくなるってことです。このプロジェクトは七夕まつりを成功させるために行いましたが、みんなで優しくなるプロジェクトだったのかもしれません。

 

 

パクパクパワー!

2歳児クラスの子だけ参加するつもりが、345歳児が迎えに来たので0歳児も1歳児もみんな踊りに参加する形になりました。

 

最後は全園児で踊る。こんなに素敵な展開になるとは思っていませんでした。

 

まだ7月初旬。このメンバーでの保育園生活は始まったばかり。これからのみんなの成長がすごく楽しみです。

 

最高の七夕まつりを、最高のメンバーで行うことができました!

 

 

 

以上、令和6年度七夕まつりプロジェクトシリーズでした!

 

長くなってしまってすみませんでした。どうしても流れを追っていかないと理解できない複雑なストーリーになっていたので書き切るのは相当大変でした。昨年度以上にそれぞれのクラスが影響し合い、関わり合いながら育つ姿をお見せできたんじゃないかと思います。

 

今回、実験的に私が途中からプロジェクトの指揮を取っています。保育士に任せずに自分でやってみると、あらためて保育の難しさと面白さを感じることができました。そして保育士が与える影響というものも強く感じました。安心と挑戦のサイクルで子どもが育つ。こども家庭庁の言っていることが深く理解できた気がします。

 

私たちが保育園で何を大切に保育を行なっているか、それが伝わってくれると嬉しいです。そして、親バカみたいですが、うちの園児たちは本当にすごい。大人が子どもにリスペクトしたって良いんです。たくさん勉強させてもらい、たくさん感動させてもらいました。

 

各クラスの単独の活動は最初から子どもたちが泣いている場面が度々出てきて、今回のシリーズをブログにせずにお蔵入りするか迷ったのですが、最後まで読めばご理解いただけるかと思い、そのまま発表することにしました。温かい目で見ていただけると幸いです。

 

長い小説を書き終えたような疲労感と達成感がすごいです。命を削ってブログを書いている気すらします。しかし、子どもたちの素晴らしさを世の中に発信することも私の使命であると考えて頑張っていきたいと思います。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 

また次のシリーズでお会いしましょう。