345歳児合同で行う、七夕まつりのリハーサルです。練習が全然できていない各クラス。本番まであと1週間。子ども達は成長したけど、ちゃんと発表するところまで持って行くには時間がない。だけど大丈夫。リハーサルで全ての問題を一気に解決しようというのが私のねらいです。

 

それは、どうぞ!

 

♯2

緊張の中で発表を楽しめるのか

最初は、煮詰まっている4歳児クラスの発表から。今までと違ってお客さんが見ていることでみんな緊張しています。

 

役は固定していないので、女の子が1人彦星に混じっていますね。劇ごっこですから、やるたびに役が変わったって良いんです。

 

 

照れるほど成長したということ

彦星と織姫が仲良くなって喜ぶシーン。女子は盛り上がっていますが、男子が観客を気にして女子の方に駆け寄りません。緊張もそうだけど、照れている感じですね。

 

 

照れている男子は身動きできず

そして前回の打ち合わせ通りに、天の川をみんなで協力して設置していく。神様1人では設置できないことがみんなわかっているので、当たり前に手伝っていく。

 

 

子どもだけの劇ですから

しかし、その後が進みません。みんな緊張と照れで我を忘れてふざけて走ったり勝手に遊び出したり。まとまりがなく、ぐちゃぐちゃで劇が止まってしまいます。

 

10分以上時間をかけてなんとか終了。子どもだけで作り上げる劇って難しい。長い時間我慢できる保育士もすごいし、それを温かく見守る3歳児と5歳児もすごい。批判する雰囲気はこの部屋には存在しません。

 

 

列が乱れているのは子どもたちがリラックスしているから

見ていた3歳児と5歳児に感想を聞きます。

 

「面白かった」などの肯定的な意見が多い中、「彦星と織姫が天の川を作るの変じゃない?」と5歳児から鋭い意見が。

 

「役割ごとに分かれて演技をする」はずが「天の川を設置するのをみんなで手伝う」という素の自分で動いてしまっているんですよね。その瞬間、自分の役を演じていない。天の川を設置することに協力はしているけど、役割分担して劇を成功させることについては協力できていない。そこに気がつくとは5歳児は流石ですね。

 

自分たちの間を引き裂く天の川を彦星と織姫が作るのはおかしい。全くその通りです。

 

 

それを聞いた4歳児から「じゃあ神様を増やせば良いんじゃない?」という最高のアイデアが。まさか自分たちで解決方法にあっさりたどり着くとは思いませんでした。思っている以上に成長しています。

 

 

嬉しくて照れている神様

「神様やりたい人ー?」「はーい!」

 

自分たちで質問して自分たちで決めていく。つまり、自分たちのアイデアと優しさで解決していく。カササギを作った、あの体験が生きています。

 

 

神様が4人になりました

リハーサルなんで、もう一回やらせてもらいました。5歳児達も「いいよー。」と快諾してくれています。みんなで、このアイデアが成功するのかを見守ります。

 

 

手伝わずに見守る彦星と織姫

織姫と彦星は手伝わない。神様4人で天の川を作る。

 

結果は大成功!

 

きっかけは5歳児の発言だったけど、4歳児クラスは自分たちで乗り越えることができました。いい感じですね。

 

 

さて、次は3歳児クラスの発表です。

 

 

ふれあいダンスの決めポーズ

初めて披露するダンス。というか、子どもたちは曲も初めて聴くし、踊り方もわかりません。

 

だから5歳児クラスと一緒に「ふれあい」をテーマにしたダンスを1曲目に持って来ました。お兄さんお姉さんに助けてもらいながら、緊張を緩和し、踊りをなんとなく覚える。そういう意図です。

 

 

楽しいことの共有

続いてタオルを使ったダンスを数曲。全て「ふれあい」をテーマにした曲を選んでいます。5歳児と一緒に、と思って始めましたが、4歳児が飛び入り参加してきたのでそのまま4歳児も一緒に行います。

 

参加したくなって体が勝手に動くなんて、最高じゃないですか。

 

 

過去最高の盛り上がり

最後は全員でタオルを使った電車ごっこのダンス。

 

5歳児の動物電車があったので、電車ごっこを最後にしようと決めていました。楽しい気持ちをみんなで味わう。発表というより、みんなで作り上げる。それが、今の3歳児にとって最高の発表になるんじゃないかと思ったんです。

 

 

 

ピコピコハンマーが主役みたいな写真になってますね

最後は5歳児クラス。替え歌の合唱と、合奏。緊張するといつもよりうまくいかないかもしれない。だけど、みんなの前で堂々と発表することが大事。

 

発表というものは、発表者とお客さん。2つ揃って初めて発表になります。実は、みんなで作り上げるものなんですよね。

 

お休みの子がハンドベル担当だったのでメロディを奏でることができず、急遽楽器を入れ替えての発表になりました。楽器の入れ替えにもすんなり応じる子どもたち。何の楽器を演奏するのも平気。みんなで合奏するのが楽しいんだから。

 

 

発表の開放感から解き放たれたピース

リハーサル終了後は、本番で着る浴衣を試しに着てみました。そのまま笹に短冊を自分たちで飾り付けます。

 

 

・・・子ども達みんなの願いが叶いますように。

 

 

さぁ、リハーサルが終わりましたが、どうだったでしょうか?子どもたちでプロジェクトを遂行していくという意味が、なんとなくわかるんじゃないかと思います。

 

4歳児が自分たちで解決していくところや、3歳児がお兄さんお姉さんに支えられてみんなで盛り上がるところ、5歳児がお休みが出て楽器を入れ替えても気にしないところなど、それぞれの「これまで」が再現されているような展開になりました。

 

同じような現象を繰り返しながら人は成長していく。同じモチーフ、同じ展開、同じ過ち、同じ解決。これらは偶然ではなく、必然なのです。全てはつながっています。

 

なぜそうなるかと言えば、「何度か繰り返し成功することで、そのスキルを獲得する」からです。たった一度の成功は偶然の産物かもしれない。運が良いだけだったかもしれない。自分自身もそう思う。

 

だけど、何回やっても解決できるという体験は「できるという確信」に変わり、そして「自信」になる。それがスキルの獲得です。

 

各クラスで起きたことは、子どもたちの中でこのリハーサルを通して「偶然ではなく確信へ」と変わっていく。

 

リハーサルは本番の試しではなく、これまで培った過程を自信に押し上げるために存在するのです。