3歳児の七夕まつりダンスプロジェクト、今回で最終回となります。衣装も完成し、あとはダンスの練習をするだけ・・・なのですが、ダンスの練習はしません!最終回では、さらに子どもたちの集団の力を引き出していくことに専念します。
それでは、どうぞ!
♯5
ダンスの練習をしようと用意をしていたのですが、機材トラブルで行うことができないことが5分前に判明。
こういうトラブルも面白い。逆にそういう運命だったのかなと思ったりします。
七夕まつりでは紙コップ投げ大会というのを行うのですが、その活動に繋げる意味もこめて、そしてさらに仲良くなる時間として、ボールプール遊びを行うことにしました。
この環境は私が作っています。これまでの集大成となるのか、楽しみです。
誰かが自分の方に来てくれることを待つしかできなかった子が、ジャンピング両手投げですよ。すごいですね。完全に自分を表現できています。
ちなみに私に向かって投げているわけです。ちょっと悪いこともできるようになってる。私に対して安心しきっているからです。気持ちを受け止めてもらえると思っているから投げる。
安心と挑戦のサイクルで子どもは育つ。それがよくわかります。
女子はみんな仲良しになりましたね。壁を作って世界を区切ることで盛り上がる。年齢的によくある光景です。区切るということは「こちら」と「あちら」を分けて認識しているということ。つまり、「こちら」にいる人たちに仲間意識を持っている。
特別な「つながり」を感じていないと、こういう遊びになりません。
乗り物にみんなで乗るというのも仲間意識ゆえの遊びです。メンバーが固定ではなく入れ替わるところに、このクラスが仲良くなった証拠が表れています。
メンバーを入れ替えながら遊びは続く。第一回では2人組だった子も、ギャングだった子も、1人で牛乳パックを集めていた子も今は同じ遊びに夢中になる。
心を許している。
ちょっとギクシャクした時もあったけど、大好きな気持ちが溢れちゃう。抱きしめ合う遊び。
愛を確かめ合う遊び。
同じように寝っ転がりながら笑い合う仲間たち。もうどんな組み合わせにもなれます。ギャングはもういない。不適切な遊び方は見られません。
そういえば、横に寝ようとして避けられたことも第一回でありましたね。今はみんなで寝っ転がっています。
乗り物が壊れる遊びでひっくり返ってびっくりして泣いた子に駆け寄る仲間たち。第二回で泣いている子がいても誰も反応しなかったのが嘘のようです。
ボールだけでなく、カラーコーンを追加。すると、カラーコーンを並べ始めます。このコーンの中一つだけボールが入っているのを当てるというゲームが始まりました。
最初は走り回るだけだったのに、遊びが高度になって、工夫して遊ぶようになっています。元ギャング達が遊びを作り出し、先導していきます。
2人が絡む時は間に女の子がいた時でしたが、今日は2人だけでも仲良く遊んでいます。
自分で緑のマットにくるまったら腕にカラーコーンをつけて攻撃してくれる友達が来た。自分の存在を無視するのではなく、向こうから興味を持って来てくれる。彼が求めていたのは、こういう存在だったんじゃないでしょうか。
ボケに対するツッコミというか。そういう関係になっています。
ピンクのパックだけでなく、ピンクは何でも集める。この子はピンクが本当に好きなんですね。取られないように、服の中に隠しています。部屋中のピンクのボールを集めていきます。
右に注目。集めたピンクのカラーボールを渡しています。
前回、ピンクのパックを譲り受けて嬉しかったから、今日は自分が相手に譲る。こうやって嬉しい気持ちが連鎖していくと、物へのこだわりも軽減し、楽しさを誰かと共有して行けるようになるのです。
ピンクが繋ぐ心の絆です。
この子の優しさもみんなを変えていきましたね。
こんな自信に満ちた表情をするようになりました。
自然と前転をするような場所ができ、列ができています。順番を待つのも教育ですが、保育士が作るのではなく子ども達が作った列は、なぜかみんなちゃんと順番を守るんですよね。本当に不思議です。
子どもは子どもの世界で育つ。
先ほど譲り受けたピンクのカラーボールをカラーコーンの中に隠す遊び。
ピンクのボールを譲ってもらえて嬉しかった思いをコーンの中に隠し、友達に見つけてもらうということは「自分の嬉しかった気持ちを友達に見つけてもらいたい」ってことですから。
嬉しい気持ちをシェアしたい。子どもは純粋です。
みんなで並べる。誰も壊す人はいない。第一回では並べた牛乳パックは八つ当たりで壊されていましたが、そんなことはもう起きないんです。
並べるのを手伝いたい。4歳児と5歳児のお兄さんお姉さんがカツラ作りを手伝ってくれたみたいに。嬉しかった思い出は、次の自分の行動につながっていきます。
私はこれを「愛の貯金」と呼んでます。大人になるまでに、たくさん貯金しましょう。
丸めた新聞紙をセロハンテープで固めて投げる遊びがありましたが、今はカラーボールを投げています。そして、そこから派生して、コーンを並べてボーリングが始まりました。
次に青い柔らかいボールを追加しました。取り合いになるかと思ったけど、協力して集める遊びになって私もびっくりしました。
もうクラスの中におもちゃを独占するような雰囲気はありません。
マットを重ねて隣の部屋の小窓から覗く遊び。
ついに3歳児の興味は部屋の外へ。
隣で遊んでいたのは2歳児クラス。一個下の学年です。
「おーい!」と声をかけます。
5歳児が動物電車になって隣で遊んでいる3歳児と4歳児に会いに行ったように、3歳児もまた下の学年の子に「今、僕たち、楽しいよ!」という想いを届けたくなってるんですよね。
そしてこの遊びは全員参加の遊びへ。
落ちないようにマットを支える子、小窓から覗く子、周囲で見守る子。それぞれ役割分担をして一つの目的に向かって協力している。
そうです。これが協同的な遊び。プロジェクト保育の姿なのです!
最後はみんなで水分補給。
三角の中に入ります。
ちなみに三角は、僕と私ともう1人を意識しないと作れない関係性の象徴。集団とは三角形以上の関係でできている。
これまでの遊びで、子ども達はぶつかり合いながら成長し、仲良くなり、そして一緒に協力する喜びを知りました。
この雰囲気なら、この先もきっと大丈夫。仲良く楽しい時間をみんなで作り上げていけるはずです。
3歳児シリーズ、以上です!
いい感じにまとまりましたね。第一回の雰囲気が嘘みたいです。
3歳児シリーズ最終回ということですが、七夕まつりのダンスの練習を何もしてません。別の日の通常の遊びを削ってダンスの練習をするという考え方もあるのですが、こんなに良い雰囲気で遊べている子ども達に「保育士主導でダンスを教える」という選択肢が私の中にはありません。このクラスのまとまりを大切にしたい。
でも七夕まつりでは何かしら発表しなければいけない。しかし、練習はしたくない。となるとやり方は一つです。
ぶっつけ本番でやる。
こういうことですね。幸い、この後の日程的にはリハーサルと本番の2回できます。結果を重視していなから、こういう考え方ができます。ダンスの質なんてどうでも良いんです。楽しく仲良く踊れたら、それがこの一連の遊びで育った3歳児の活動の成果を発表しているのと同じになるんですから。
結果ではなく、そこにたどり着くまでに子ども同士で関わり合った過程にこそ、何にも変え難い、素晴らしい価値があるのです。