345歳児合同プロジェクト「お別れ会」その9。最終回です。
前回からの続きで当日の様子の後半部分をお伝えします。
それでは、一年間追いかけてきた、5歳児クラスの最後の輝きをご覧ください。
まずは会場設営と準備です。テキパキと準備を進めています。特にくじ引きと、レジ周りの小物が多いので、念入りに確認をしているようです。誰が何の仕事とか役とか決めていませんが、特に問題なく全部の場所の準備が完了していきます。
準備中にちょっとした気持ちのすれ違いがあり、涙する子が。それに最初に気付いた子がずっとそばにいてくれていました。涙が止まらない子にティッシュを差し出して「これで涙を拭きなよ。」と声をかけます。
周囲の子も声をかけたいけど、今はこのやりとりを見守っています。一番後ろの子は手をぎゅっと握っているのがわかりますか?我慢しているのです。自分もできることをしたいけど、今はこの2人のやりとりを邪魔してはいけないから。
みんな集まってきました。こんな気持ちでは始められないんです。
「始めてもいいですか?」と担任が声をかけると(おそらくわざと)
「だめ」「もう少し待って」
そんな声があがります。その声を出し方に優しさを感じました。
泣いている子をぎゅっと抱きしめる子も。
気持ちが一つになったところで「それでは始めます。」と絶妙なタイミングで担任から合図がありました。あえて保育士が介入せず、子どもたちだけで寄り添い復活する環境を作っているんです。
3歳児クラスと4歳児クラスの子がお客さんとして会場に入ってきました。いよいよ本屋さんのスタートです。
率先して読み聞かせの役を行っています。大きくなるっていうことは、小さい子に優しくできること。随分と大きくなりましたね。
自分が作ったわけではないパソコンやレジ、お金やレシートを使って接客をしています。みんなで準備をしたんです。これはみんなで作った本屋さん。みんなのお店です。
お客さんとしてまだお店に入れずに順番を待っている3歳児と4歳児クラスの子と、体を使って遊んであげている5歳児。ふざけているように見えますが、あえてやっています。これをすると喜ぶとわかってやっているのが表情を見ればわかる。写真では表情が写っていませんが、ふざけているのではなく「遊んであげている」状態です。
小さい子が男性保育士や父親に体全体でぶつかっていって遊んでもらってる、あの感じです。こんなことまでできているんだなと思うと、何だか嬉しくなりました。
本を購入した後の3歳児と4歳児のところに行き、「読んで欲しい人!」と声をかけて、読んであげています。これは前日準備ではなかった展開です。待ち時間まで楽しんでもらおうと当日の様子を見て思いついたのでしょうか。
いいえ、そうではないのです。この2人は前回みんなが遊んでいる時も読む練習をしていました。場所もこの位置です。あの時から、これをイメージしていたのでしょう。
中央で張り切って接客をしていますね。並ぶ方向を示しています。すっかり元気になりました。
後方では泣いている3歳児クラスの子を心配そうに5歳児の男子チームが声をかけています。
同時に嬉しい成長がいろんなところで見ることができるので、私の写真も追いつかないし、心も追いつきません。最後にふさわしい、すごい展開です。
前日は接客がうまくできずに落ち込んでいましたが、本番では立派にこなしています。それを隣で見守る子がいます。この本屋さんを立ち上げた子ですね。最初はレジにいて、今はここを見ています。自分がいなくてもうまくできていることを確認するかのように、全体に目を配っています。そして、静かに移動していきました。それは仲間を信頼しているからでしょう。
そして、読み聞かせコーナーに移動し、3歳児クラスの子に絵本を読んであげています。自分が作ったものも企画も仲間を信頼して任せ、自分は今足りていない場所にヘルプで入る。最高のリーダーじゃないでしょうか。
それぞれが状況を見て動き、足りない仕事をカバーする。自分自身が楽しみつつ、仲間や相手が楽しめる環境を作っていく。
背中を預けるのは信頼の証です。そちらの仕事はあなたに任せるということですから。
子どもたちを輝かせるように、命が輝くように保育をする。私はそう保育士に話すことがあります。しかし、その輝きは経験したことがない人には伝わりません。経験しても感じ取れない人もいます。
このブログは、在園時の保護者の方に活動の様子や保育士たちが何を考えてどんな関わりをしているのかを伝えるだけでなく、保育士や他の読んでくれている方に、子どもの輝きとはどういうものかを伝えたいという願いも込めて始めました。
この一年間、時間をかけて丁寧に成長の過程を解説させていただきましたが、どうだったでしょうか。少しでも皆様の中に「子どもの成長の輝き、命の輝き」を感じ取れる瞬間があったとすれば、私の願いは成就したということになります。
最後はみんなでお誕生月なかまという曲に合わせて踊りました。幸せそうなみんなの表情や空気感、良いですね。
最後は踊って終わるというのは保育士のアイデアでした。一年の最後にふさわしい終わり方だと思います。
これでお別れ会はおしまいです。いかがでしたでしょうか?
本当に素晴らしい子どもたちです。私は園長として誇りに思います。
主体的・対話的で深い学び。これは今の日本の教育の核となる考え方です。保育園も幼稚園もこども園も小学校も中学校も、みんなこういう教育をしましょうということになっています。
しかし、そんな教育を私たち大人は受けていません。保育士も教師も、親だって、そんな教育を受けていない。自分が体験していないことを行うことは、なかなか難しいことです。
このブログで、主体的・対話的で深い学びとはどういうものかを、皆さんに疑似体験してもらいました。どうでしょうか?何となく少しでもイメージできたでしょうか?
主体的・対話的で深い学び以外にも大切な要素として、育みたい資質・能力というものがあります。
今までの教育では、「知識や技能の習得」が評価の対象でした。テストで○点とったとか、跳び箱を○段飛べたとか、数値や結果で評価する世界ですね。これも大事ですが、今の教育ではそれと同じくらい大切な要素がもう2つあります。
もう一つは「思考力・判断力・表現力」を育てていこうというものです。つまり、結果ではなくその過程が大事だということですね。何を感じ、考え、表現するのか、工夫するのか、です。このブログでは、その大切さをたくさん解説してきました。子育てにも共通するものです。結果ではなくプロセスを大切にするだけで、子どもはのびのびと自分の力を発揮していきます。そしてその結果、知識も技能も身についていくのです。
最後は「学びに向かう力・人間性」です。最後のお別れ会では、信頼、愛、笑顔、優しさというワードがたくさん出てきました。何よりも、こういった心を育てていくのが一番難しいわけです。この子たちは、それが育っていることがよくわかっていただけたのではないかと思います。
この3つの柱が混じりあって、子どもたちは成長していきます。保育士はこの3つを意識しながら保育をしています。
もう一つ、3つと言えば園の保育方針です。
きらり美南保育園の保育は「遊びを創造する」「体をつくる」「心を育てる」の3つを柱に保育をしています。それが保育の中で行われていることをブログで丁寧に解説させていただきました。これからも職員一同、子どもの成長と笑顔、そして保護者の皆様のために努力し続けていこうと思います。
一年間ブログをお読みいただき、ありがとうございました。次年度もよろしくお願い致します。