乳児保育シリーズ第三回、今回は目と手の協応運動を目的とした遊びである手指運動遊びの紹介です。

手指運動つまり「視覚」と「指や手の動き」を連動させるスキルの訓練を遊びの中に取り入れています。乳児保育のおもちゃは市販のものでは余計な装飾や形であることが多く効果的に訓練することが難しいので、園では手作りおもちゃを併用しています。

 

ボール入れ

箱の上に空いている穴にボールを入れるという手作りおもちゃです。写真ではボールを入れずに自分の手を入れる遊びになってしまっていますが、遊び方は自由です。好きなように遊ぶのが一番脳が喜びます。

 

ベビーサークルに工夫あり

ベビーサークルの壁に紐を引っ張るおもちゃを設置しています。主に「つまむ」機能を鍛えます。「つまむ」のは指先の運動の基本となる動作で、最終的には鉛筆を握って字を書く能力に結びつきます。

 

ホースを穴に入れるおもちゃ

ちょうどぴったりの大きさに開けた穴にホースを入れます。力をある程度入れないと入りきらないくらいの難易度にしています。

市販のプラスチック製の似たようなパズルは○のパーツを○の穴に入れるような「形の弁別」に重きを置いていますが、これは「指先の運動」に重きを置いています。このように目的に合致するおもちゃは手作りおもちゃの方が優れているのです。

 

入れるだけでなく蓋も開ける

こちらは四角いカード上のものを穴に入れます。蓋には縦横2つの穴があり、「向き」の概念を獲得しながら指先の運動を鍛えるような効果も期待できます。

蓋が簡単に開くようになっており、子どもが自分で開けることができます。大人がいなくても自分で繰り返し遊べる上に、「蓋を開ける」という運動も行うことができるようになっています。

このように、おもちゃは可能な限り子どもだけで完結できるような仕組みであることが理想です。好きな時に好きなだけ飽きずに取り組めるからです。例えば蓋を大人が開けるおもちゃであれば、大人が「開けるのめんどくさいな」と思ったら遊びが中断してしまいます。主体性を発揮させるには大人の介入を減らして子どもだけで完結する遊びの設定が重要です。

 

つなげる遊び

2歳児になってくるとさらに細かい遊びが可能となります。ビーズを繋げていくとか、複雑な手指の運動を好んで行うようになります。園ではこのようなおもちゃを複数用意していて、子どもの能力や興味に合わせて遊びに取り入れています。

 

ひとりでできるもん的な

市販のおもちゃはよく考えられてます。このような0〜1歳児の興味を引くような構造になっているものは合同保育の時間などに活用しています。

回す、引く、押す、入れる、押し込む、引っ張る、はめる、めくる等。電池を使っているので音が出るため、成功したときのフィードバックが入りやすく、集中して遊びやすいような工夫がされています。

 

2歳児にピッタリ

お箸の練習が必要な2歳児クラスでは前段階としてトングを使用した遊びを行ったりします。ままごとセットと組み合わせて、料理をしたりお弁当を作ったり。箸の練習だから箸を使うという安易な方法ではなく、段階を踏んで楽しみながら必要な能力を鍛えていきます。

 

もちろん手指の運動として用意しているおもちゃはこれで全部ではありません。一部だけの紹介です。ご家庭でのおもちゃ選びの参考にもなるかなと思います。

 

全部に共通するのは「何を鍛えているのか」を大人が理解しておもちゃを子どもに与えているかが大事であるということです。練習とは必ずしも苦しいものではありません。楽しみながらできる練習があります。

幼児期にとっては遊びが教育なのです。