それぞれの発表の準備が終わり、いよいよ本番を明日に控えて準備に取り掛かる345歳児。合同で飾り付けを行なっていきます。本番前ということがわかっているので少し緊張というか高揚感みたいなものも感じます。

 

♯3

手前の5歳児、集中するのが他のクラスより早い

いつもの配置でいつものように各自制作を行う。昨年度のクリスマスマーケットプロジェクトと同じように「何を作るのも自由」「どこに飾りつけるのも自由」というルールで行なっています。

 

 

立体構造に興味がある子です

飾り付け一番人気は鏡。5歳児が立体のリングを作り、鏡に貼っています。他の子が作った平面の色画用紙で見えなくなったのを逆手に取り、「めくると出てくる」という遊び心を発揮しています。

 

自分の作品を隠されて邪魔されたとネガティブに捉えず、ポジティブに再評価する。この前向きな解決策ができるのが地味に素晴らしい。

 

 

大人の感動が子どもを作っていく

立体のリングに私が関心していたからか、その後は次々と立体物を作っていました。これはサイコロ状に展開図を作って組み立てた立方体です。5歳児とは思えない空間把握能力。

 

私たち保育士の素直な感動が子どもに伝わると、子どもの才能が開花していく。そういうこと、結構あるんですよね。

 

大人には「感動する力」が必要です。私たちも、幾つになっても目を輝かせていきましょう。

 

 

膝をついて目線も合わせているのもすごい

自分がうまくいっている時って、他人にも優しくできる余裕が生まれます。3歳児がうまく切れないテープカッターを押さえてあげている。

 

良い循環が生まれています。プラスの連鎖です。

 

これって私が保育で意識していることの一つかもしれません。プラスを連鎖させていく。集団を扱っている以上、関係性の変化をうまく使って成長を促すのが一番早いし効果も高い。個人でも集団でもなく、人と人の間にある関係性へのアプローチ。このブログでも関係性に焦点を当てて保育しているのがわかると思います。

 

 

怖いのでこの後保育士が椅子を押さえにいってます

どこに飾り付けても良い。だから自分たち5歳児にしか届かないくらい高いところに飾り付けたい。そんな考えも出てきます。

 

背伸びをして、めいっぱい上へ。どこまでも伸びていく。自分の限界を超えていく。君たちにはそういう子になってほしい。

 

 

集団で笑い合う喜び

さっきは偶然下のクラスの子にリングを隠されていましたが、それをヒントに自分たちであえて隠す遊びというか作品を作り出しています。ポケモンのモンスターボールの絵をめくるとモンスターが出てくる。ちゃんと筋も通っている。素晴らしい。年長らしい飾りに仕上がっています。

 

 

単独クラスでも合同でも大切にしていることは変わらない

続いて4歳児。やっぱり「ながれぼし」を作る。人と人を繋げる流れ星。明日の本番の成功を祈って、飾りつける。

 

 

コギャルって平成初期じゃないですか?

コギャルを描く2人。よっぽど気に入っているのか、毎日描いてました。コギャルが面白くて周囲に笑いが起こります。

 

七夕に関係なくても構いません。飾りにルールなんてないんだから。描きたいものを描く。やりたいことをする。そしてそれが周囲の人を笑顔にしている。最高です。

 

 

カメラを気にしない程の集中

今回の4歳児シリーズで中心となった新メンバーで神様。真剣な表情で、作っては飾るのを繰り返す。

 

何かを作るということは、何かを生み出すということ。心を形にしていくこと。

 

 

すでに次の作品の構想が頭に浮かんでいる

好きな魚だそうです。たくさんの魚を作っては飾る。みんなが作った飾りと一緒に自分の作品も飾られる。夢中になって作る。

 

誰かに見てもらえるともっと嬉しい。

 

 

バツではなく十字を作って見せてくれています

3歳児。第一回で牛乳パックで十字架を作っていましたが、ここにきてやはり十字架を作る。この子の中で、すごく惹かれるものがあるんでしょう。

 

4歳児が流れ星に祈るように、3歳児は十字架に祈る。短冊に願いを込める七夕と同じですね。祈りとは願い。この子達の幸せを私たちは願っています。

 

 

何が彼をそんなにも惹きつけるのか

セロハンテープに興味がありすぎて、ずっとセロハンテープを使っています。何を作っているのかは後付けで、とにかくセロハンテープを使いたい。

 

作った作品にラップをかけるみたいにセロハンテープをつけています。守るためのテープです。意味がなさそうで、よく観察すればちゃんと意味がある。セロハンテープに興味を持つこの子に、私たちが興味を持つこと。それが子ども理解の出発点です。

 

 

何を描いているかにあまり意味はない

同じものを使用し、同じものを描く。打ち合わせたわけじゃないけど、お友達と同じことがしたい。そういう心理が働く。

 

好きな人じゃないと真似したいとは思いません。仲良くなればなるほど、こういう現象が起きていきます。

 

だから、仲良くなってくると集団が動き出すんです。プラスの感情や行動が伝染していくから。もっと言えば、もし子どもたちが保育士のことを好きであれば、その保育士に必ず影響されていく。集団を変えたいなら、お互いに大好きな集団にすれば良い。

 

 

 

一緒に変顔をする

同じものを作っているわけじゃないけど同じ表情をこちらに向けてくれています。子どもは誰かと一緒の行動をすることで安心感を得る。

 

よく考えたら大人も同じかもしれませんね。オリンピックで母国の選手を応援したり、仕事でスーツや制服を着たり。他人と「同じ」に安心感を得る。

 

一方で「人と同じこと」に反発したり「人と違うこと」に自分の価値を見出そうとする。実に面白い。

 

 

同じだけど、違う。どっちでもないところが正解なのかなと、この子達を見ていて思いました。なんでもそうだけど、どっちかに決めない方が面白い。

 

 

担任のエプロンは大体ピンクなので絵とマッチしてます

終盤に描いて貼ったのは「担任の先生」の似顔絵です。好きなものを作って貼る時間だから、こういうことも起こる。

 

保育士として、すごく嬉しいプレゼントですね。活力になります。

 

 

満足そうな笑顔

貼ったはずだったのにみんながそれぞれ自分の作品を貼っていく過程で落ちてしまいました。今度は誰にも剥がされたくないので、椅子を使って高い位置に貼り直します。これも工夫。これも試行錯誤。

 

高いところに貼ることで、もっと目立つ存在になりました。みんなを見守るピンクの担任です。

 

 

金色の紙飛行機も繋がっていますね

4歳児の子が長い作品を窓に貼りました。流れ星作りから始まり、カツラ作りでは3歳児と一緒にスズランテープを長くして引っ張る遊びになっていた子です。今日の作品も長い作品です。

 

「繋げる」ことへの興味が止まりません。

 

 

街の不良に囲まれる真面目な学生

そこへやってくる345歳児。みんなで取り囲みます。真剣な表情。

 

何かのトラブルでしょうか?

 

この子達の動向を追ってみることにしましょう。

 

 

問答無用で連れて行かれる

女の子たちに押され、引っ張られ、部屋の隅へ連れて行かれました。

 

不良が真面目な生徒を体育館裏に連れていくのと同じ感じ?

 

 

ピンクの紙飛行機(最近ピンクが気になってしょうがない)

どうやら「あなたがさっき作ってここに貼り付けた紙飛行の折り方を3歳児の男の子が知りたがっているから、教えてあげて」ということだったようです。

 

なるほど。3歳児の願いを、4歳児と5歳児が叶えてあげているということですね。学年なんてもう関係ないんだなぁと思いました。学年を超えて仲良くなっている。

 

 

こういう子は伸びます

そしてその教わった折り方を元に、自分なりにアレンジを加えて新しい紙飛行機を作っていました。真似をするだけでなく、自分で改良する方向へ進むのはなかなかすごい。

 

子どもたち同士のつながりが、個人の才能も伸ばしていきます。

 

 

みんなでジャンプ!

3歳児たちが仲良く椅子からジャンプ。それを4歳児の女の子に見てもらっています。

 

僕たちこんなに仲良くなったよ!

 

 

ここで時間終了。楽しい時間はすぐ終わってしまいます。

 

 

壁が飾りでいっぱいです

最後はみんなで作品を見て回ります。自分が作りたいものを作ったから終わり、ということにはしません。他の子の作品にも興味関心を持ってほしいからです。個人で作ったんじゃなくて、みんなで作ったんだ。それを感じられるような時間にします。

 

 

これ僕が作ったんだよ!

一生懸命作った魚の飾り。仲間に見てもらい、嬉しそうです。作って楽しかっただけじゃなく、それをみんなに見てもらえる喜び。「すごいね」と言われたり、「面白い」と言われたり。評価基準はなんだっていい。仲間に認められたという事実が、この子の全身を駆け巡る。

 

体験が人を変える。

 

 

こんなの見せられたら泣いてしまいますよ

飾りをみんなで作る時間は終わりです。

 

だけどその日の午後、さっきの4歳児の男の子は1人で、13人の人間を絵に描きました。自然と手伝う仲間たち。みんなに切るのを手伝ってもらって壁に飾りました。

 

4歳児クラスは自分を入れて12人。担任を入れて13人。今年度から入園し、みんなと過ごした3ヶ月で自分自身が仲間になれたと感じているからこういう作品ができたんです。

 

ずっと1人で遊んでいた子が、仲間の優しさに触れて人を好きになる物語。

 

その結末は明日訪れます。

 

次回、七夕まつり本番です。