今回は令和6年度4歳児の七夕まつり劇プロジェクトの続きとなります。前回までの活動では素晴らしい物語を私たちに見せてくれた4歳児。今回から劇の具体的な内容に踏み込んでいきます。子ども主体の遊びと発表練習の融合の難しさと面白さを解説していきます。

 

 

♯6

椅子のぬいぐるみは観客という設定です

衣装は作っていましたが、そもそも役を決めていませんでした。もう一度物語をおさらいし、やりたい役に手を挙げてもらいます。

 

どの役が何人でも良い。やりたい役をやるのが一番です。

 

 

男女を意識する年齢ではあるから仕方がないけど

男の子は「彦星」、女の子は「織姫」、新メンバーの男の子だけ「神様」という配役になりました。

 

 

これは波乱の予感。

 

 

 

牛というか猫だけど

彦星チームは前回遊んだ時と同様に、牛の世話をする遊びを展開します。今回はおままごとの野菜なども用意していたので、それを使用して世話をします。

 

 

機織り機(はたおりき)ってこういう漢字なんですね

織姫チームは機織り機を椅子で作り、バスタオルを布に見立てて服を作るごっこ遊びを行っています。

 

椅子を機織り機にするのは子ども達のアイデアです。子どものアイデアを積極的に取り入れて、劇を作り上げていきます。

 

 

1人って難しいよね

「仕事をしないで遊んでばかりの織姫と彦星に怒った神様が天の川をかけて2人を離れ離れにする」というストーリーなわけですが、神様1人では何をどうすれば良いのかわかりません。ただただ天の川を引っ張って歩くだけで、物語を進めることができない。

 

今まで自由遊びだったのに、急にストーリーを意識して遊びを展開するという「縛り」に順応できません。

 

何をするかを保育士が教えてやらせるのは簡単です。そうではなく、子どもが作り上げる劇。そこに魅力と教育的な効果がたくさん詰まっています。

 

 

優しさは日を跨いでも変わらない

一旦中断して、みんなでどうすれば良いのかを話し合います。

 

女の子達から「みんなで手伝えば良いじゃん」と意見が出て、みんな同意しています。前回までも助け合ってきているから、クラスの中で困難が発生すれば自然に助け合う雰囲気になって行くんですね。

 

 

ブルーシートを広げるのって1人だと難しいですよね

試しに天の川の設置をみんなでやってみます。

 

やってみてみんな思うんです。「これは1人では無理だ。」

 

この体験で、1人で天の川を広げられなかった神様役の子に対して、深い共感を得ることができました。そして、助け合う必要性も、より深く理解することになります。

 

 

神様らしい威厳のあるポーズ

神様、みんなが天の川を広げている様子を中央でじっと見つめています。

 

実際に見せてもらうことで、やり方を理解しているんでしょう。

 

 

サービス精神旺盛な子ども達

ついでに神様の演技まで女の子達が自主的にやってくれました。神様役の子は言葉で理解するより、人のやっているところを見たほうが理解しやすいタイプです。

 

仲間との関わりを通して劇の理解を深めていきます。

 

 

頼りになる子の後ろに隠れる

やるべきことは理解できても、緊張や恥ずかしさが残る。理解と実行力は別です。

 

そんな時、動けなくなる子もいれば、逆にテンションが上がってふざけてしまう子もいる。

 

この子はテンションが上がってしまうので天の川を持って走り回ってしまいました。劇が進みません。

 

 

この子達本当に頼りになりますね

走り回っていたら落としてしまった「神様の印」。それを拾い上げます。

 

みんな胸にシールみたいに「役の印」をつけていたんですが、神様はそれを落としてしまったようです。これは偶然のようで偶然ではないんです。

 

神様を演じる自信がないから、その印を落としても気にならない。無意識の心の動きです。

 

 

カササギを踏んでることも「つなげる」役割を意味している

女の子が神様役の子に、落とした「神様の印」をつけてあげています。

 

三つ編みやカツラ作りと同じく、世話をされることは愛をもらうこと。温かい気持ちのプレゼントです。

 

大丈夫だよ!

 

そういうメッセージを神様は仲間から受け取っているんです。

 

 

それでも神様をやるには荷が重い

そしてまた印を落としてしまう。ただの不注意なのか、神様を演じることの自信のなさか。あるいはその両方か。

 

拾う子は同じ。異変に気付き、実行する力がこの子にはある。そして、なぜそれを行うかというと、この子が優しい子だからです。

 

 

自らを信じると書いて自信

そして再び胸に印をつけてあげる。

 

「大丈夫だよ、自信を持って」というメッセージを送っているかのようです。素直に印と気持ちを受け取る神様。

 

自分1人では難しいことでも仲間がいれば乗り越えられる。そういう体験が劇を作り上げる過程で得られるのが劇ごっこの良いところです。誰かに支えられる体験。しかも大人からではなく同年齢の子から支えられる体験。そしてそれは、一緒に困難を乗り越えることにつながっていきます。

 

 

そんなことをしていたら、このままこの日は時間が来て終了。一度も成功しませんでした。でも次の日はリハーサルです。果たして、みんなのサポートを受け、神様を演じることができるのでしょうか。

 

 

以上です。

 

練習っぽい練習はしていません。遊びながら発表するのを目指しているので、演技を教えるとか、セリフを教えるとか、そういう保育士が主導的に関わることをしていない。

 

そうすると、子ども達で解決できない問題が出てきた場合、何度練習してもうまくやれない。今回で言えば、天の川とカササギを正しいタイミングで正しい場所に設置することができない。1人ではそもそも設置は困難。

 

どうやって乗り越えて行くのか。今回もアイデアで乗り越えていくのか。何も進まないまま時間だけが過ぎていく。

 

次回、345歳児合同でのリハーサルの様子をお届けします。