2歳児と3歳児の合同プロジェクトも最終回となりました。自由遊びの中で同じ目的に向かって協力する体験が自然発生することを目指すこのプロジェクト。前回でほとんど達成しているような感じですが、最後も最後で良い感じになります。それでは、行ってみましょう。

 

♯4

最終回に相応しい展開になるか、乞うご期待

第4回ではジョイントマットに人が多く集まっていますね。ダンボールよりジョイントマットで作る方が楽しいという体験が前回起きているためです。箱を作ったり、線路を作ったりと、自分で工夫できますからね。遊びが深まれば工夫できるものを使用したいと思っていくのが当然です。

 

 

虹色

同じ髪留めのゴム。レインボーカラーです。双子コーデってやつですね。女の子ってこういうのやりたがりますが3歳児でもそうなんですね。

 

恋人や夫婦でお揃いの服やグッズを使うことがありますが、それと同じでしょう。同じものを身につけることは「つながり」を意味する。結婚指輪もそうです。こういう「つながり」で人は安心感を得る。

 

ちなみに、3歳児クラスは「にじ組」です。レインボーカラーの髪留めから、いろんな意味を想像できます。

 

 

安心している人にしか見せない笑顔

2人で一つ、ニコイチでいるということは安心感が増すのと同時に、束縛を意味する。なんだって、良い面と悪い面がある。大人みたいに長く生きていれば、それを体験で知っているけど、子どもたちには経験が足りない。このあと、2人で一つという考え方の難しさを体験することになります。

 

 

 

悪いなのび太、この車は2人乗りなんだ

たまたま別の子と電車ごっこをしているのを見てしまいました。楽しそうな2人。それを見て、複雑な感情が湧き起こる。今まで経験したことのない、何か。

 

嫉妬。

 

 

自分で解決するわけじゃないやり方

こういう感じになる。端っこで背を向けてうずくまる。言葉でコミュニケーションせずに行動でメッセージを伝えています。これは「相手から」来てもらうためのコミュニケーションの手段になってしまっていて、あまり良いものではありません。自分で解決することを放棄しているのは、問題解決能力が発揮されていない。いずれ自分で解決できるようになって欲しい。

 

もう1人の方は特に気にしていません。こっちの子は誰と遊んだって良いと思っている。2人の認識に大きな違いがあります。

 

2歳児クラスから3歳児クラスにかけて、子どもたちの中で「関係を分ける」という行動が頻繁に行われます。いわゆる「仲間はずれ」とか「もう〇〇ちゃんとは遊ばない!」「〇〇君の隣が良い!」とかそういうのです。これは発達段階として、この時期に起こるのが普通です。大人からすると、そんなことをしているのかとビックリしてしまいますが、成長に必要な過程だと言えるかもしれません。

 

どういうことかと言うと、2者関係から3者関係に明確にレベルが上がる段階なんですね。ちょっと違いますがわかりやすく言うと、「私」と「あなた」という関係しかないから、そこに「第三者」が来ると当然のように排除しようとするので「仲間はずれ」の行動が起こる。正確に言えば仲間から外しているわけではなく、2人の関係だけしか認識できないから、第三者が入ってきた時に切り分けているだけです。3人目の気持ちは自分の認識の外にある。

 

これを繰り返しながら、第三者の気持ちを理解していくことで、全体を俯瞰して見たり、客観的に見ることができるようになっていきます。

 

 

2歳児でも立体を作れることに驚き

こちらは2歳児。前回特徴的だったからか、2歳児で箱を作っています。3歳児の遊びが、一周遅れて2歳児に伝染する。印象が強烈に残っているから、無意識に模倣遊びになる。

 

しかも、1人ではなく協力して作っています。これも前回と同じですね。良い行動は、遅れて全体に伝染していく。

 

 

左手前の子の「みんなを見守ってる感」がすごい

前回からの続きという意味では、ホウキとチリトリ遊びも継続です。実は今日は前回までの主役級の子はお休みしています。あの子がいないので自分たちがホウキとチリトリを使える時間が物理的に多くなるので、たくさん遊んで、使いたい気持ちを満たしていきます。

 

この遊びはあの子が発見したもの。あの子のおかげで遊びが広がり、みんながお掃除に興味を持つようになっている。これが掃除好きになる第一歩になっているかもしれませんね。

 

 

協力する遊びが流行中

前回みんなで片付けたイメージから、みんなで運ぶ遊びへ。軽いから1人でも運べるわけですが、そうじゃない。みんなで運ぶということ自体が面白いんです。これも遊びです。

 

協力することに喜びを感じているなら、十分に全4回の自由遊びが成功しています。協力することに喜びを感じなければ、例えば七夕まつりの準備をみんなでやろうというプロジェクトに興味を持つことができない。2歳児や3歳児のうちから、もっと言えば0歳児だって1歳児だって、そういう心を育てることはできるはずなんです。

 

人を好きになって、人と一緒に遊びたくなって、だからみんなで何かを一緒にやろうとする。それは乳児クラスから実践できることが証明されました。

 

そもそも、「できる」「できない」で考えるから幼児クラスだけが課題解決型のプロジェクト保育を行えると保育士たちは思っています。だけど、心を育てることは2歳児だってできるんです。愛に年齢は関係ない。

 

 

電車ごっこは仲間意識を育てます

メンバーが入れ替わりながら遊べています。遊ぶメンバーが固定しないのが2歳児クラスの発達的な特徴です。3歳児クラスになると発達段階的にお気に入りの友達ができてメンバーが固定されがちになる。2歳児クラスのうちに、いろんな子と遊ぶことで柔軟で広がりを持った人間関係を作る下地みたいなものが作られていきます。

 

 

椅子というかプラポイントを重ねただけ

一つの椅子に4人で座る。なんてことはないことも、子どもからすれば遊びになります。シェアすることが楽しい。くっついていることが嬉しい。

 

 

1人だけ遊べなくなっています

さぁ、いよいよ最後のエピソードの紹介へと移っていきましょう。

 

嫉妬からいじけてしまった3歳児の女の子。完全に背を向けています。

 

心配して2歳児の男の子が遊びに入ってきました。ここがポイントなんで解説しておきます。3歳児女子の三角関係が問題の発端でしたね。自分以外の2人が遊んでいるのを見て嫉妬でいじけている。そこに2歳児の、しかも男の子が遊びに入ってきたことにより、「3人の女子の遊び」ではなく「4人の遊び」になったわけです。

 

4人になったことで、「3人組のうち2人組が作られて自分が浮いている」という状況ではなくなった。構造的に嫉妬しにくい環境になったということです。2歳児男子、なかなかのファインプレイです。

 

 

年齢も性別も超えて心が一つになっていく

2歳児の女の子も気になって話しかけています。みんな各自で遊びながら、ちょっとここが気になる状況になってきている。遊べていない子がいれば気になる。みんなで遊びたいと、みんな思っている。

 

このシリーズ最後のプロジェクト(子どもたちから自然に生まれた目的の共有)は「全員で遊ぶ」ということになったようです。

 

 

イケメンは心までイケメン

そうです。こういう状況であれば彼が放っておくわけがありません。

 

「どうしたの?」と優しく声をかけます。

 

 

イケメンは女子の間を取り持つスキルを持つからイケメン

話を聞いて状況を理解した上で、ケンカ(一方的だけど)した相手と話をしています。どうやら間を取り持つつもりのようです。いやぁ、頼りになりますね。

 

 

心優しき仲間たち

他の3歳児の男の子たちも次々と集まってきます。直接問題を解決する動きは見せませんが、そばにいてあげる子もいれば、他の遊びに誘う子もいる。ふざけて笑顔を作ろうとする子もいる。それぞれが自分が考えたやり方で問題解決に向かっています。

 

 

満を持して「奇跡を起こす青い髪留めの子」が登場

無言で近づき、頭を撫でる。初回でもありましたね。この子は積極的に行動できる子。優しさがそのまま行動に出る。

 

この子が動き出したということは、大きな変化が生まれるかもしれない。そんな期待を持ってしまいます。

 

 

心優しき保育士の見守りの中で、それは行われる

別の場所へ丸を集めに来ていた相手の子のところへ行き、話をしていきます。間を取り持つようですね。行動だけじゃなく、言葉も使うようになりました。今回のシリーズでは細かく解説していませんが、一人ひとりにこういった成長も見られています。

 

この子も双方のところへ行き、話をしています。一方の話だけでなく、双方の話を聞いて判断しようとしているんですね。短絡的に判断しない。大人でも間違えやすい状況なのに、なかなかすごいです。

 

しかし、片付けの時間が迫る。あと1分くらいしかない。このまま端っこにいる子が遊べないまま終わったら、今回のプロジェクトは成功とは言えなくなる。全員が遊ぶ。そこに辿り着きたい。私はそれを見てみたい。

 

 

終了1分前の「奇跡」

みんなの優しさを受けて、あの子の元へ。

 

そして、手を差し伸べる。にぎり返す小さな手。

 

第二回で2歳児が「おいで」と言って手を差し伸べ、カーテンの方へ傷ついている子を連れて行ったみたいに、今日は3歳児クラスでそれが起きています。

 

優しさは時間を越える。

 

 

天使にラブソングを

黄色のプラポイントを頭に乗せる。天使の輪っか。髪留めは違うけど、天使の輪っかでお揃いになる。これが仲良しの印。これまでも2人で天使だった。そうやって遊んできたから、これが成立します。

 

それを見守る2歳児の男の子。こういうのは、見届ける役が必要なんです。この2人が仲良しだってことを、仲直りしたってことを、この男の子が知っている。2者関係ではなく、3者関係になっている。それがとても良い。

 

 

箱の中には希望

今日はお休みの2歳児の子がいつも集めていた小さい丸をたくさん箱に詰めています。これが私たちの新しい宝物。今日はあの子はお休みだから、あの子が大切にしていたものを、お姉さんの私たちが代わりに大切に保管しておく。

 

前回、あの子は壊してしまった箱を修理して私たちの宝物も戻してくれた。その想いに応えたい。今度は私たちが、あなたの宝物を守る。

 

あの子のおかげで、私たちは優しくなれた。みんな仲良くなった。色とりどりの丸は、きっと虹色みたいに、いろんな子の心の集まりなのかもしれない。

 

髪留めも虹色でしたね。虹色は多様性や調和の象徴。いろんな子がいて、個性が混じり合う。そして、2歳児と3歳児が混じり合う。合同保育が良い影響を与えてくれました。

 

 

壁は障害物としてではなく宝物を守るために使われる

それを2歳児と3歳児が一緒に、大切に運ぶ。クラスを超えて、私たちは一緒に遊んで、仲良くなった。今いる子もお休みの子も、みんな仲間。みんな友達。

 

髪留めが違っても、天使の輪っかがなくても、みんなで遊んだこの時間が私たちの「つながり」になっている。もう不安はない。壁を作る必要はない。みんなといれば、私たちは安心できるから。

 

 

 

2歳児3歳児合同プロジェクト、以上です。いかがでしたでしょうか。最初始めた時はこんな感じになるとは思っていませんでした。学年が下であればあるほど純粋なストーリーが展開されるのかもしれません。

 

遊びを解説するはずが、愛や優しさみたいなものを物語の中心にすることになりました。細かい遊びも解説できたのですが、わかりやすさを重視し、この内容に主軸を置いて今回は解説しています。

 

初めて参加した2歳児担任は振り返りで「このプロジェクトを実際に自分の目で見て体験してみて、今までの保育士人生に匹敵する経験だった。」と話していました。すごく密度が濃い。子どもの愛を、子どもの成長をこんなに身近に感じられる仕事は他にはないと思います。すごく幸せな仕事をしているんだと、このブログをまとめていて、あらためて感じました。

 

2歳児クラスという年齢の子どもたちが自由遊びで奇跡のような体験が出てくるのかわからないと思ってやってみましたが、想像以上の素晴らしい展開が見られて私も感動しました。

 

もちろん、3歳児担任の環境設定や、その場にいた2歳児の保育士たちの温かい雰囲気も影響しています。私がいなければ、やはりこうはならないだろうというのもあります。その場にいる人間全てが環境に影響を与えているからです。その場にいる子どもと大人全員のコラボレーションによって、このようなストーリーになったんだと思います。

 

 

さて、次回は4歳児と5歳児の合同プロジェクトの解説となります。こっちはこっちで予想できない、とんでもない展開が待っています。ご期待ください。