4歳児の次のプロジェクトはダンボール遊びです。ちょうど運動会を開催する月だったので、運動系の遊びを取り入れてみました。このクラスと言えば大きいビルディングブロックを使った人類の歴史再現遊びが印象深いのですが、今回も子どもたちの興味にピッタリの遊びです。

 

それでは、いってみましょう。

 

#1

 

初回は様子見です。どんな遊びが展開されるのか私たちも予想ができません。ダンボールは大小様々な大きさ、箱状のもの、箱にしないもの、マットも置いてみるなど、遊びが広がるように環境だけ整えておきます。

 

最初はバラバラに遊ぶ

まずはそれぞれが興味のあるところで遊び始めました。この5分前まで運動会のダンスの練習をしていたので、その緊張感からの解放もあってか、遊びにスッと入り込みます。身体を動かしていましたので身体がすでに温まっているのです。

 

 

引っ張る動き

幼児期に身につけたい36の基本動作というものがあります。文部科学省の幼児期運動指針ガイドブックでも様々な動きの遊びを取り入れようと書かれているのですが、ダンボール遊びでは通常の遊びではあまりできない動きを行うことができます。

 

例えば、「引っ張る」動きです。全身を使って自分と同じくらいの体重の子を引っ張るのは、なかなか大変な運動です。

ダンボールに入って引っ張られている子も「のる」「支える」「もつ」などの運動を行っています。

 

遊びの工夫などを紹介することが多いブログになっていますが、運動能力の観点だけでも実は結構語れるんです。専門家って話すの好きだと思うんですけど、私も話すの好きなんでしょうね。何時間でも語れますし、何万文字でも書けます。一つの遊びも様々な視点で書くことができるので、毎回何を主軸に置くかで悩んでいます。書くことで悩むというより、何を書かないかで悩んでる感じです。

 

 

貨物列車によるお届け物

「貨物列車でーす」と言いながら小さい箱を全て独り占めしていた子がみんなに荷物を配り始めました。

 

「お届け物でーす!」

 

貨物列車の子は「もつ」「支える」「運ぶ」「押す」「つかむ」「わたす」「つむ」などの動きを行っています。

ちなみにマットの上の子は「わたる」「あるく」運動ですね。

 

郵便屋さんごっこ的なニュアンスもありますが、基本的には運動遊びの要素が強い遊びが展開されています。

 

 

橋ができました

配られたお届け物を使って、マットの上に橋を作り始めました。このように、今回のプロジェクトは遊びと遊びが融合していく様子が見どころになっています。そこにご注目ください。

 

 

遊びが融合

ダンボールは不安定なマットの上に置いただけなのでグラグラ揺れます。そのダンボールの上を渡るという危険な遊びが始まりました。お届け物をした子は橋を修繕する役になっています。

不安定な足場を渡る遊びだから転ぶとロッカーにぶつかるから危ないなぁ・・・と私が考えた瞬間、保育士がスッとロッカーの前に移動しました。流石はうちの保育士ですね。危険予測ができています。

 

 

大人気アトラクションダンボール橋

参加人数が増えて橋が伸びていきます。この後全員参加になるのですが、まさかこういう遊び方になるとは私も予測していませんでした。良い意味で期待を裏切ってくれるので、見ていて飽きません。

 

 

#2

 

第二回ではダンボールを増量、マットの位置が危なかったので中央に移動してみました。

 

マット遊びになる

中央にマットを配置したことにより目立ってしまい、ダンボールを使わずにマット運動になってしまいました。跳び箱のような使い方ですね。「走る」「はねる」「とぶ」の動きです。前回より活発な遊び方に変わりました。マットの位置が部屋の真ん中になり、危険が減ったことで遊びもダイナミックに変化したんですね。何をどこに配置するかで遊びが変わるので、環境設定には常に気を使っています。

 

奥では廃品回収みたいになっていますが、ダンボールを回収しています。前回はお届け物を受け取る側でしたが、今回は配る方をやっていますね。こうやって遊びは影響しあって変化していくのです。

 

 

ねこちゃんハウス

大きいダンボールを廃品回収に取られないように集めて守っていました。猫の家だそうです。本当、このクラスは猫が好きですね。誰か自宅で飼っているのでしょうか。

そういえば猫ってダンボールに入るの好きですよね。ダンボールに入る遊びから、猫を連想したのかもしれません。

 

もはや何遊びかわからない

マット運動で使っていたマットを壁にして、お家を作っています。この笑顔を見たら、これがこの子どもたちにとっての「正解」の遊びであることがわかるんじゃないでしょうか。

遊び方は大人が強要するものじゃないんです。自由な発想をできる人が、いずれ組織や世の中を動かしていくんでしょう。この子たちの将来が楽しみです。

 

 

トンネル遊びでフィニッシュです

最終的にはダンボールをつなげて長いトンネルを作る遊びをみんなで行っていました。

 

奥の方でキャタピラ(輪っかの中に入ってハイハイで進む)遊びをしていますが、そこから派生したのがトンネルごっこです。

 

キャタピラは「はう」「まわる」「押す」「くぐる」の動きです。その動きの面白さと、ねこちゃんハウスの大きなダンボールが融合してトンネル遊びになりました。さきほど、マットを囲いにしてお家を作っていましたが、あの「囲まれた壁の中に入る」というイメージもトンネルの中に入る遊びに結びついています。

 

バラバラだった遊びが時間が経つにつれて、それぞれの面白さをミックスさせた遊びとして統一、融合されていく。これも立派な創意工夫、試行錯誤の力です。主体的なだけじゃなくて、対話的というか集団の力で遊びが変化している様子がわかります。

 

さて、後編では遊びの融合という現象をさらに紹介していきましょう。そして遊びの融合がもたらす効果についても語っていきます。