七夕まつりを経て成長した5歳児クラス。新しいプロジェクトは「水遊びおもちゃ作り」です。夏ならではの水遊びと試行錯誤する工作を融合していきます。
それではスタートです。
まずは導入です。園にある水遊びのおもちゃを自由に使って遊んでみます。水遊びエリアは保育室に近いところを設定。水も少なめにして、水そのものより道具というかおもちゃをメインで扱うように環境を設定して行いました。
子どもって水遊びが大好きですよね。大盛り上がりです。
びしょ濡れになったので全員お着替えをしました。続いて、廃材の中から「水遊びに使える素材」と「使えない素材」を分けることに挑戦。
赤い線の右と左で分けてみようということで各自自由に置いてみたところ、全然わかりません。なんとなくトイレットペーパーの芯は濡れてダメになりそうかな、ぐらいのふんわりとしたイメージで仕分けしています。
わからない時は実験です。様々な廃材を水遊びエリアに持っていき、水に耐えられるかを実際に水に沈めて実験してみます。
「あれ?水に入れたらダメみたい」「ほんとだ!」
どんどん試して、どんどん理解していきます。
もう一度部屋に戻って、仕分けに再挑戦です。大体の子が理解したようで、仕分けはサクサク進んでいきます。
大人は簡単に分けることができると思うんですが、それを子どもに言葉で「何を基準に分けているのか」を説明しようとすると、簡単に見えて結構難しいんですよね。
例えば「ツルツルしているのは大丈夫だよ!」と言っている子がいました。おそらくプラスチックは大丈夫だと言いたいんでしょうけど、ツルツルしている紙を見て「これも大丈夫!」と判断する子が出てきました。難しいですね。
保育士が「これは使えないんだよ」と教えてしまうことは簡単です。でも子どもは「何でダメなんだろう?」という疑問を残したまま育つことになります。
これは疑問をそのままにする子に育ってしまうということです。疑問は自分で調べて試して解決していくという毎日を過ごしていけば、勉強を自分から進んで行う習慣の基礎が出来上がります。わからないことをわからないままにしない子を育てているのです。
大体の仕分けが終わりました。ダンボールの中を見ても大丈夫そうですね。それでもまだ一部の子はわかっていません。次はそれを解決していきます。
実はさっきの耐水性の実験の時に、水に入れたままになっていた廃材があったのです。水に入れた瞬間は大丈夫だったとしても水にしばらく入れておくとダメになることもあるということを発見しました。
「ほら、見て!」「さっきは大丈夫だったのに!」「これってダメなんだ」
実験により「時間差による変化がある」という深い学びが生まれました。
みんな興味津々なんですよね。こういう実験に興味がない子はうちの園にはいません。逆に言えば、こういう知的好奇心というのは実は人間が元々持ち合わせている能力であるという考え方があります。みんな本来は勉強が大好きなんです。勉強が嫌いにならないためには、幼児期にこうやって遊びの中にお勉強的なニュアンスを入れていくのが有効なんです。
遊びが教育です。
手前の子のカメラ目線が気になりますが、この日はプラスチックコップにお絵かきをして遊ぼうという企画です。実は「何を使ってお絵描きするか」については保育士は指定していません。もちろん「わざと」です。
みんな自由に道具を使ってお絵描きをしています。最終的にクレヨン、水性マーカー、油性ペン、養生テープで巻くという4種類の方法が生まれました。
4種類の方法で作ったコップを一つずつ実際に水につけてみます。
「全部消えちゃった!」「せっかく描いたのにー」
水性マーカーの子の作品はキレイさっぱり全部消えてしまいました。
油性ペンと養生テープは問題なし。
クレヨンは完全に消えるわけではないけど汚くなってしまう。
「え、なんでー?」
みんなは何を使ってお絵描きすればいいかを学べたようです。こうやって体験することで理解と記憶の定着に大きな違いが生まれます。人は失敗から多くのことを学ぶのです。
お絵描き再挑戦です。全員が油性ペンと養生テープを使ってますね。耐水性について理解できたようです。
これで水遊びに使える「材料」と「ペン」について理解ができました。次回からはいよいよ自分たちでおもちゃを作っていきます。
最後はお絵描きをしたコップで遊びます。頭を使う時間と体を使う時間。こういうバランスが大事です。ここは学校ではありません。保育園はお勉強をするところではなく、遊ぶところです。
遊びながら、楽しみながら学べる。それが良い保育園だと私は思っています。