運動会は10月開催なので、運動会が終わるともう秋の気配が感じられます。

令和4年度のブログは5歳児クラスの一年間を行事中心に連続的に紹介することで、年長さんの成長を感じていくことをねらいにしています。秋ということで半分過ぎましたね。

 

秋といえば焼き芋ということで、今回から焼き芋プロジェクトです。プロジェクトと言っても、前回の鼓笛も、今回の焼き芋も、子どもと一緒に作り上げるものになっています。子どもだけで進めることを重視するプロジェクト保育を昨年度紹介しているので今年度は大人も子どもも一緒になってやっていく形のプロジェクトをメインに紹介していきます。

 

O ・I・M・O

実は5月にさつまいもの苗を植えていました。写真は5月の様子です。11月の焼きいもに向けて、水やりを定期的に行ってきています。運動会も終わり、いよいよ収穫という季節になりました。

 

芋ズル式に笑顔も生まれます

園で畑は持っていないので園庭でプランターで育てているわけですが、意外とちゃんと大きく育つものですね。芋掘りに大興奮です。

 

こういう生命に触れる体験って現代人では少なくなっていますので、本当は動物や植物と触れ合う体験をたくさんさせたいんですよね。自分で育てて自分で収穫する。この後焼いて食べるまでがセットですが、この先も続けていきたい行事の一つです。

 

 

探検ぼくのまち

今年の焼き芋は、自分たちで焼いて食べるだけでなく、園児全員にプレゼントしたいと考えました。収穫した芋だけでは園児全員分にならないので、みんなでさつまいもを買いにスーパーにやってきました。

普段、お家の人とスーパーに来ているかもしれませんが、自分で「さつまいも」がどこにあるのかを探すことはしないでしょう。さつまいも売り場を探します。

 

売り場に行くといろんな種類のさつまいもがありました。ホクホクがいいのか、ネットリが良いのか、甘いのが良いのか。その場で話し合い、結局甘いものを購入することになりました。ある程度保育士側で何をさせたいのかを決めておきますが、こうやって子どもだけで決められるものは子どもが決めていきます。自分で選んだという結果が大事です。

 

ジャネレーションギャップ

さつまいもを何個買えば良いのか計算し、何本カゴに入れたか数えます。何度か確かめて、これで間違いないだろうということになり、レジへ。

 

有人レジと無人レジ、どちらにするか尋ねると、まさかの無人レジへ。

自分たちで機械を操作して購入します。今時の子どもたちですね。

 

「私がやりたい!」

「違う!」

「ここを押すんだよ!」

 

収拾がつきません。一旦仕切り直し、手前の子がリーダーとなって数え直します。

 

なんとか買えました。夏に駄菓子屋さんごっこで嘘のお金で買い物ごっこをしていた子たちが、今本物のお金で買い物をしています。なんだか不思議ですね。

 

落ち葉拾い

焼き芋で使う落ち葉や自然物を拾いに近所にやってきました。整備が行き届いた都会に住んでいると、こういう機会でもなければ落ち葉で遊ぶこともありません。

 

乾いた落ち葉、太い枝。まるで宝探しのようです。キラキラした目で探して、お互いに報告し合いながら集めていきます。

 

集め過ぎて持ち帰ることができなくなり、急遽、保育士にカートを園から持ってきてもらいました。落ち葉よりも枯れ枝が人気で、大量の枝が集まっています。

 

掃除も遊びにしちゃう

集めた後は道を掃除します。来た時より綺麗になるように、ホウキで履いたり、拾ったり。ホウキの取り合いになりました。

 

「〇〇さんはそろそろ交代してあげて」

「僕の次に使っていいよ」

 

ここでも譲り合いや相手を思いやる優しさが見られました。そうです。わざとホウキの数を少なくしているんです。こういうことを期待して。期待というか、信頼かもしれませんね。

 

「こういうふうに数を限定してわざとトラブルが起きるかもしれない状況を作って子どもたちに解決策を考えさせると良いですよ」と講演会や研修会で私が言うと、聞いていた保育士や教員から「それをすると喧嘩になってしまいます。うまくいきません。」と言われることがあります。

 

その通り。ちゃんと育っていない子達でこれをやると喧嘩になって険悪な雰囲気になるだけです。日々の中で相手を思いやる優しさや解決するための知恵が育っているから、こんなに素敵な関わりが生まれていくんです。

 

散歩中の方達から「お掃除えらいねぇ。ありがとねぇ」と何度も声をかけられました。もしかしたら子どもたちの中に地域清掃や社会貢献の心も育つかもしれません。

 

仕分けも遊びになっちゃう

園に帰ってからは、拾ってきた枝などの自然物を仕分けていきます。太さで分けておいて、焼き芋の薪として使用します。

 

ここでは私から「青いタライに入るような大きさにしてね。」という指示だけ出しています。

 

タライに入るかどうか長さを考え、比較する。自分の力で枝が折れるのか試したり、腕の力で無理だからと足を使う子も。テコの原理で折ろうとするとか、それぞれに工夫が見られました。自然物を使った問題解決能力の育成です。

 

ノコギリで切るのも遊びです

どうしても折れない太い枝は、ノコギリで切っていきます。「怖いからやらない!」と言っていた子も、結局全員やりました。

 

何でもやってみようという好奇心を持つ子も素敵ですが、ちゃんと「怖い」と感じることができ相手に伝えられる子も素敵です。そして勇気を出して怖さを乗り越えて体験できたのはもっと素敵なこと。

 

安心できる保育士と一緒だから「やってみようかな」と思えたんです。そして、みんなやっているから「やってみようかな」と思えたのもあるかもしれません。集団の中で子どもが育っているんですね。

 

子どもの知恵ってすごい

落ち葉と薪の仕分けが終わりましたが、園庭に小さな枝や木の破片などがたくさん落ちています。このままでは小さい子たちが安心して園庭で遊べません。

 

みんなで拾っていると、1人の子が軍手に小さな破片やゴミがくっつくことに気がつきました。「こうすると良いよ!」と軍手でハイハイしています。それを見てみんなが真似をしていき、あっという間に園庭が綺麗になりました。

 

この発想は無かったなぁ。子どもの知恵って、時に大人を超えることがありますよね。すごいです。

 

前回の鼓笛もそうですが、じっくりと何日もかけて行う活動が人を成長させて行くんです。それが粘り強さ、我慢強さ、すぐに結果が出なくても前に進む力になっていきます。生きる力を育てます。

 

さて、焼き芋の準備が終わりました。次回は当日の様子をご紹介します。