3歳児の「砂場で砂と水で遊ぶプロジェクト」がスタートです。今回は皆さんお待ちかね(?)の「ストーリー分析」で解説してみたいと思います。

前回の3歳児の家族おままごと、ご覧になったことがない方は先に読んでからの方が今回のシリーズの理解が深まると思いますのでぜひお読みになってください。

3歳児プロジェクト保育(家族おままごと)その1

 

最初に今回の環境設定の説明です。おもちゃなどの環境設定は子どもたちで決めてもらいました。あとは自由です。

3歳児のプロジェクト保育のねらいは、集団で一つの目的に向かっていく力の基礎の基礎をつけることです。自由な遊びの中で、保育士が誘導せずに自然と集団遊びが発展し、一つの目的に向かっていくかどうか。ここがポイントです。

それでは初日の様子を見てみましょう。

 

#1

水待ち渋滞

「ねぇ、水まだー?」

「ちゃんと並んでよ」と小さな言い争う姿も。水の到着を待って毎回、長い列ができています。ここでは水がそんなに貴重なのでしょうか。

 

ここは砂漠の国ということにしましょう。

 

鍋料理を作るお店

建物の中ではスープを作っています。建物の中まで砂が入り込んでしまい、居住環境とも良いとは言えません。人々はスープをもらおうとお皿を持って並んでいます。

先ほど水を汲んでいた人々は、この建物に水を運んでいて、その水でスープを作っているようです。みんなに食事を配る仕事なのかもしれません。それだけ水が貴重だということでしょう。

 

 

オアシスの消失

天然の水源であるオアシスも消えゆく運命にあるようです。必死で木材を使って水を貯めるための工事をしていますが、うまくいきません。

 

なんの打ち合わせもしていないのに、なんか物語の始まりを予感させるドラマやアニメの「第一話(状況説明回)」みたいになっていますね。子どもの遊びは面白いです。

 

 

#2

第二回では水に固執せずに砂を使って工夫して遊ぶ様子が見られました。

 

アイス屋さん登場

水が不足している砂漠の国に「氷を作る」技術が外国から持ち込まれました。

「アイス屋さんでーす。アイスはいかがですかー?」

次々とアイスを作る「アイス屋さん」は手前の子です。

 

スープ屋さん出張

小屋で作っていたスープ屋さんは大工さんの力を借りて野外に進出。ラーメン屋さんも合流しています。

 

右の黄色の鍋の子が「スープ屋さん」

中央のエメラルドグリーンの鍋の子が「ラーメン屋さん」

手前の黄緑の鍋の子が「大工さん」です。

 

食堂の完成

アイス屋さん、スープ屋さん、ラーメン屋さんが合流し、食堂が完成しました。

「いらっしゃいませー!」

砂漠の国に活気が出てきました。

 

コーヒー屋さん

一方その頃、こちらでは「コーヒー屋さん」が誕生しました。左の2名です。

右の2名はコーヒーを買いに来ています。

「うーん、良い匂い!」

 

第二回ではそれぞれがやりたいことをしていてまとまりがある遊びが展開されません。しかし、場所を共有して「食堂」が誕生するなど、これから遊びがまとまってくるような予感を感じさせます。

 

#3

 

第三回では予想外の展開で遊びに変化が見られます。

 

貴重な水の使い道

怪我をした子(という設定)に砂漠の貴重な水を使って治療をする様子が見られました。

 

「大丈夫ですか?痛くないですか?」

「もっと水を持ってきて!」

 

治療は続きます。

 

食堂の使い道

手術の結果、体操服が泥だらけです。「病院へ連れて行こう!」とみんなで患者さんを運びます。みんなの食堂を解放し、治療スペースとして使うことを了承する子どもたち。

「ここは病院ではありませんよ!」

そんな事を言う子もいますが、そもそも砂漠の国に病院はありません。

ここでも貴重な水は治療に使われます。みんな喉が渇いて食べるものがなくても、患者さんのために各自ができることをします。

 

砂漠の国に病院が誕生

食堂での治療も限界となり「やっぱり病院へ連れて行こう!」という話に。

先ほど食堂を病院ではないと言った子が「ここが病院でーす!」と小さな家に患者を連れて行きました。なるほど。最初からここを病院にしたかったようですね。

心配して集まってくる子どもたち。

 

ここで3回目は終了。それぞれがやりたい「○○屋さん」の集まりという遊びでしたが、ここにきて一つのドラマが生まれました。貴重な水を誰か1人のために使う。そんな体験をした子どもたちにどんな変化が生まれるのか。

 

後半に続きます。